12月17日 超富裕層の優遇放置

東京新聞2017年12月12日2面:暮らし直撃 負担増相次ぐのに・・ 2018年度税制制改正で、所得について「年収850万円超」の会社員らが増税となることが決まった。今回の見直しでは、「森林環境税」の創設やたばこ増税を含め、暮らしを直撃する負担増が相次ぐ。しかし、株式の売買など金融所得で収入の大半を稼ぐ少数の「超富裕層」に、他の主要国並みの負担を求めるような議論はされないままだ。
■ いびつな議論 「普通に働いて労働所得中心の人だけが増税され、金融所得で稼いでいる超高所得者の懐が、ほとんど痛まないのは問題だ」。諸富徹・京都大大学院教授(財政学)は本紙の取材に対し、今回の議論のいびつさを指摘する。所得税改革は、与党が進める「働き方改革」の一環で、収入が多い会社員や公務員を増税し、その分をフリーで働く人に恩恵が及ぶ仕組みにする狙いがあった。増税になる年収の線引きが焦点となり、与党税制調査会は当初、「800万円超」とする案を議論した。給与所得者の平均年収(約420万円)と比べれば800万円は「高所得者」と言えるが、明確な根拠があって示された数字ではない。議論は、増税対象の線引きに終始。公明党内からは「年収1千万円までは中間層だ」として、反対する意見が続出。線引きを「850万円超」に引き上げることで軟着陸させた。
しかし、年収が2億円を超えるような「超富裕層」が優遇されている問題は議論されなかった。具体的には、株式配当や譲渡益など「金融所得」にかかる税率の見直しだ。
■ 右肩下がり 所得税は、年収が多い人ほど税率が高くなる「累進税率」となっている。しかし、国税庁の調査をもとに割合(負担率)を計算すると、年収が2億円を超えると、下がり始める。所得税の負担率は、「年収1億円超~2億円以下」の人が「28.9%」。2億円超の人をピークに右肩下がりとなり、「年収50億円超~100億円以下」の日とは「17.9%」となる。超富裕層にもかかわらず、負担率の水準は年収1500万~2000万円の人と同じだ。
高所得者ほど、収入に占める金融所得の割合は多い傾向にあるが、所得税の税率は最大で45%(住民税を含め55%)なのに対し、金融所得の税率が一律20%と低いからだ。さらに、給与所得とは切り離して税額を計算する。例えば、年収1億円の場合、全てが給与所得なら適用される税率は55%だが、全てを株でもうけたとすると20%ですむ。
■ 抵抗 今回の所得税増税で、約900億円の増収になる、仮に、金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げれば、数千億~1兆円の増収になるとの試算もある。金融所得課税の税率は、米国や英国などと比べると低い水準にあり、財務省幹部は「金融所得課税には不公平な部分がある」と認める。しかし、金融業界などから「富裕層が資産を海外に逃がす」「投資を抑制する」などの反対意見は根強い。政府税制調査会の特別委員でもある諸富氏は「焦点にすべき問題だが、関係者の抵抗が大きい」と話し、今後議論されるかは見えてこない。(白山泉)

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