12月15日てんでんこ 皇室と震災Ⅲ【25】

朝日新聞2017年12月9日3面:「自ら動き国民を統合することこそ天皇の役割と考えているのでしょう」 天皇陛下は昨年8月8日に発表した「おことば」で、天皇が象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に象徴の立場への理解を求めるとともに、天皇も国民に対する理解を深め、常に国民と共にあるという自覚を「育てる必要を感じて来ました」と述べた。
瀬畑源・長野県短大准教授(41)は、陛下が考える「象徴」の役割として「国民と共にあるだけでなく、象徴の立場を理解してもらうことも含まれる」とみる。20世紀の世界では、国民の支持を失って君主制が廃された国がいくつもあった。「象徴天皇としてあり続けるためには、主権者である国民の理解や支持が必要であり、自ら積極的に動いて国民を統合していくことこそ天皇の役割だと考えているのでしょう」
災害の被災者や戦没者遺族、沖縄の人々、ハンセン病元患者ー。天皇、皇后両陛下がこうした人々に会いに行くことについて、瀬畑さんは「国民統合の周縁に置かれ、天皇や指導者にわだかまりを持つ『被害者』を慰め、国民として再統合しようという意味を感じる。考え方の基底には戦後に受けた教育の影響があるのではないか」と考える。皇太子時代の教育を担った小泉信三・元慶応義塾長は福沢諭吉「帝室論」をもとに、皇室の任務を「民心融和の中心」となることだと説いた。英国王伝記「ジョージ5世伝」をともに読み「激動期に英国民が安定感を失わなかったは、王の誠実と信念の一貫に負うところがあった。王の生活は責任と負担ばかり多く、慰楽と休息が少ない。君主は無私聡明、道徳的に信用ある人格として尊信を受けなければならない」とも述べた。
自身が動き、国民の側にも理解を求める姿勢は「菊のカーテン」と呼ばれた皇室で両陛下が「開かれた皇室」をめざしてきたこととも一致する。2015年まで侍従長を務め、東日本大震災の被災地を両陛下にお供して歩いた川島裕さん(75)はこう振り返る。「各地で人々と心を込めて話され、視線を合わせる。お迎えした側は喜び、元気づけられる。そうした相互作用の積み重ねこそが、象徴天皇の意味だと感じました」(北野隆一)
◇「皇室と震災」第3部は終わります。次は12日から、第22シリーズ「奥尻から」に入ります。

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