12月14日 新聞を読んで 藤巻光浩

東京新聞2018年12月9日5面:税を預ける当事者として 朝刊連載「税を追う」は、防衛費を勢から捉える切り口が鋭い。東京新聞は以前、税は「納める」ではなく「預ける」という述語で考えることを提案していた(8月20日朝刊発言面「私説」)。この視点を持てば税の再配分に国民の目が向く。税の使途や使われ方に関する記事は、読者に政治の当事者として志向する道筋を与える。現在の防衛費は、官邸の裁量に委ねられいるらしい。特に、国家安全保障局(NSS)の設置以後、兵器選定の主導権が官邸に移った。(11月13日1面)。税は支持政党に関係なく微収されるにもかかわらず、与党・官邸の意向により使途が決定される。なんとも欺かれた気分になる、安倍政権は公的議論や決まり事を回避するのが得意だ。米国から輸入を検討した無人偵察機が高額であることや諸経用の高騰で、一度は防衛相が購入中止を検討。しかし、NSSなどから異論が出て、なぜか購入が決定された(14日1面)。米空軍でもコストが問題視された偵察機の購入に、なぜ踏み切ったのか。兵器ローンのツケが国民に降りかかるのは避けたい。
安倍政権で初めて防衛費が5兆円を突破し、支払いが困難になっていることも報じた。例えば、本予算だけでなく補正予算と組み合わせ(1日社会面「兵器購入『第二の財布』」)、国内の防衛関連企業に対して防衛省が支払延期を求めた(29日1面)。支出が天井破りの無法状態にある背景には、防衛省から防衛産業への天下り、防衛産業から政界への献金などがある(21日社会面「機関銃価格米の7倍」)。税を預けた国民の視点は反映されていない。
社会面に移った連載は、最後に1面に戻った。「めったにない」(25日社会面「編集日誌」)ことだという。最終回は読者を政治の当事者として定位する力があった。沖縄県名護市の辺野古新基地工事建設に伴う警備費が3年で260億円、警備の人件費が1人当たり1日9万円、建設費は国会審議を経ずに閣議決定だけで支出できる予備費からの捻出ー。移設に反対する人々が預けた税金も投入されることに強い怒りを覚えた。
税の再分配として米国から兵器を購入するのならば、何より安全保障に反映させるはずが、そもそも北朝鮮からのミサイル脅威の現実感も薄れ、安全保障に「しっかりした構想がない」(日本総合研究所の寺島実郎会長)のだ(18日社会面『兵器買え』強まる流れ」)。「防衛力とは何か。根源的な議論が必要だ」と言う軍事ジャーナリスト前田哲男さんの指摘は非常に重い(24日社会面「膨らむ予算『裏技』駆使」)。防衛費にどれだけの支出が必要か、当事者として真剣に考えたい。(フェリス女学院大教授) *この批評は最終版を基にしています。

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