11月7日 めざせ「第2の製鉄所」

朝日新聞2019年11月2日7面:洋上風力 北九州の新炉に 製鉄など製造業で栄えた北九州市がいま、洋上風力発電に力を入れている。風車の建設だけでなく、関連産業を集積させ、アジアでも有数の生産拠点にすることで、再びまちを活性化させようとしている。北九州市で先月31日、洋上風力シンポジウムが開かれた。再生可能エネルギーに携わる識者ら関係者約400人が集まった。講演では「北九州は洋上風力拠点化のトップバッター」と期待する声も出た。市は北九州港沖の響灘を洋上風力の一大拠点にする計画だ。2017年には九州電力子会社や西部ガスなど5社の企業連合を公募で事業者に選定。2700㌶の海域に約20基の風車を並べ、出力22万㌔ワット規模の発電施設を造る。北橋健治市長は「次世代の基盤産業に成長させる」「第2の製鉄所をつくる」などと意気込む。めざすは、風車の組み立てや保守など関連する企業・工場の集積だ。風車には2万点もの部品が必要で、市は雇用の創出や経済の活性化につながるとみる。さらに、港でつくった部品を西日本やアジアへ船で運んで風車を造る将来像を描く。洋上風力の建設用に造られた国内初の船も北九州港を母港にする。市は27億円かけて岸壁を強化し、重い風車の積み込みにも対応する。国も洋上風車の導入を後押しし始めた。16年7月には、港湾区域での導入促す改正港湾法を施行。響灘はこれを受けた初の公募案件だ。今年4月には、一般海域での導入を促す新法も施行。千葉県銚子市沖や長崎県五島市沖など4カ所を有望区域に選んだ。環境への影響や魚業関係者との調整など課題もあるが、新しい産業につながるとして、多くの自治体が検討している。日本の風力発電は陸上で広がってきたが、適地が限られていた。日本風力発電協会は、2030年までに周辺海域で1千万㌔ワットの洋上風力施設が設置可能とみる。原発10基分に相当する規模だ。市が洋上風力に力を入れるには、止まらない人口流出への危機感が背景にある。北九州は製鉄など重圧長大型の産業で栄えたが、度重なる合理化で、1979年の約106万人をピークに人口は減少傾向が続く。現在は約94万人で、昨年は全国の市区町村で最も人口減少が大きかった。とはいえ、日本製鉄や安川電機など、ものづくりの蓄積を風力にも生かせる可能性がある、九電子会社・九電みらいエナジーの寺崎正勝取締役は「欧米系のメーカーは日本の製鉄や発電機の技術に強い関心を持っている」と話す。先月30日に風車のメーカーに選ばれたMHIヴェスタス(デンマーク)は、北九州での調達に意欲を示す。ただ、台湾や韓国も拠点化を進めている。風力発電協会の上田悦紀国際・広報部長は「国が髙い導入目標を掲げて産業集積を後押しすべきだ」と話す。(女屋泰乃)

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