11月17日 もっと知りたい コンビニ「1~5」

朝日新聞2019年11月11日夕刊9面:脱24時間これから広がっていくの? コンビニの24時間営業が岐路を迎えている。今月1日、最大手のセブンーイレブン・ジャパンが営業時間を短くする際の指針を店主に示した。時短の試みは、ほかの大手にも見られる。人手不足に悩む店主は、営業時間を自由に選らべるようになるのか。セブンが国内1号店を東京・豊洲に開いたのは1974年。名前の通り、営業時間は午前7時から午後11時までだった。24時間営業は翌75年、福島県郡山市で始めた。便利さが評判になり、他社も含めた全国の店に広がった。全国一律のサービスは、スーパーなどとの差別化に成功し、右肩上がりで成長した。しかし近年、店の人手が足りなくなり、アルバイトの人件費が上がった。本部とフランチャイズ契約を結ぶ店主は、労働環境や経営環境が悪化。夜通しの開店は利用客が少ない店などでは難しくなってきた。今年2月、大阪府東大阪市のセブン店主が、本部の反対を振り切って深夜休業に踏み切った。コンビニの店主は一般的に、フランチャイズ契約の更新に強い力を持つ本部の意向には逆らいにくいが、それでも反旗を翻した。過酷な労働環境に注目が集まり、本部への批判が噴き出した。セブン本部は店主への譲歩を重ねた。営業時間を短縮する実験を3月に始め、加盟店287店で実施。うち8店が11月1日から正式な時短営業に移った。全国約2万1千店のうち、時短営業の割合は、ビル内にあるなどの理由で以前からの店も含めて5%弱だ。セブンはまた、時短営業に移行する手順や注意事項を記した指針「深夜休業ガイドライン」を全国の店主に示した。休業時間は最長で午後11時から午前7時までの8時間とした。他社も動いた。ファミリーマートは約1万6千店のうち約600店で時短実験中だ。ローソンは約1万4千店のうち118店が時短営業をしている。来年の元日には100店規模で休業も予定する。取り組みの背景には、国の動きもありそうだ。4月、経済産業省は、店主の不満を解消する行動計画をつくるよう8社に要請。コンビニのあり方についての検討会も設けた。「本部が時短営業を一方的に拒んで店主に不利益を与えた場合、優越的地位の乱用に当たる」。公正取引委員会は、そんな見解を示した。実態調査も進める。それでもなお、店主が時短を自由に選べるようになるかは見通せない。本部にとって24時間営業のメリットが大きい仕組みは変わっていないからだ。深夜も店を開けさせて商品が売れれば、店から受け取る加盟店料は増える。上昇している人件費は、契約に沿って店主にまわる。セブンの指針は、時短営業について店主たちに「慎重な検討」や「本部との合意」を求めている。「最終的には店主の判断」としつつ、「お客様ニーズにお応えすることを目的として24時間営業をすすめる場合もある」という。(神沢和敏)
朝日新聞2019年11月12日夕刊5面:相次ぐ出店見直し どうしてなの? コンビニは増え続け、全国で5万5千店を超える。郵便局の2倍以上だ。全体の9割ほどを占める大手3社は、一定の地域に大量に店を出す「ドミナント戦略」を各地で重ねてきたが、ここに来て見直し始めた。なぜなのか。セブンーイレブン・ジャパンは1号店を1974年に出して以来、拡大路線をひた走った。国内で最も多い約2万1千店を構える。そのセブンを筆頭に3社がとってきた戦略は「支配的な」を意味する「ドミナント」。限られた地域に一気に出店して、シェアを握る。知名度を高め、商品配送などの効率も引き上げていった。ことし、転機を迎えた。親会社セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は5月、「漁を追いかけるのではなく、質を追求した出店を徹底する」と発言した。10月には今後1年半のうちに約1千店のセブンを閉鎖、または移転させると発表した。2位の約1万6千店を構えるファミリーマートも出店を絞り、量より質を追う方針を示した。3位で約1万4千店のローソンも大量出店を見直し、今年度の増減はゼロになるとの見通しを明らかにした。各社は、新たな出店よりも既存店の支援に資金を振り向けるという。背景には「空白地」の減少と競争の激化がある。コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会によると、国内のコンビニの数は、この15年間で1.4倍になった。今夏には、セブンが「最後の空白県」だった沖縄に出店。大手3社はいずれも47都道府県すべてに店を構えた。コンビニ以外との競争も激しい。ドラッグストアや小型スーパーの出店攻勢を受け、ネット通販も普及した。客の奪い合いは激しくなり、コンビニ1店あたりの売上高は、すでに頭打ちになっていた。コンビニ各社の本部は、店主から受け取る加盟店料で稼ぐ。店を増やせば、加盟店料も増えやすい。しかし、店主にとっては、近くに同じチェーンのコンビニができれば、客もアルバイトも奪い合いになる。人件費の上昇と店主の過酷な労働環境が社会問題となり、ついに出店戦略の見直しを迫られた。ある店主は「近くに店ができれば売り上げは大幅に減り、大きなダメージになる。多くの加盟店が経験してきたが、なかなか表に出てこなかった」と話す。国内のコンビニは飽和を迎えたのか。10月の記者会見で、経営トップの見方は分かれた。ファミマの沢田貴司社長は「市場は飽和している。ドラッグストアや同業との競合状態がかなり激しくなっている」と語った。これに対し、セブン&アイの井阪氏は「踊り場」との認識だ。「飽和というのはない私はまだ思っている」。スーパーや百貨店などグループ内のほかの業態との連携を強め、「成長の余地をしっかりと確保していきたい」という。(土居新平)
朝日新聞2019年11月13日夕刊9面:食品ロスどうやって減らすの? まだ食べられるのに捨てられる食品ロスは、世界的な課題だ。日本のコンビニは定価を基本とし、発注は品切れを避けることを重視してきた。どう変えようとしているのか。セブンーイレブンは、消費期限が5~7時間後に迫ったお弁当やおにぎりを事実上値引きしている。税抜き価格の5%分を、自社の電子マネーnanaco(ナナコ)のポイントとして付与する。まずは北海道と四国4県で10月下旬から12月まで試み、来春の全国展開をめざす。「倫理的な計画」を意味する「エシカルプロジェクト」と名付けた。ローソンは、先立つ6~8月に愛媛県と沖縄県で実験をした。期限の近い商品を買ってくれた人に、Ponta(ポンタ)などのポイントを100円あたり5%分付与。さらに、売り上げの5%を子どもの支援団体に寄付した。想定した結果は得られなかったが、仕組みを改善して再度、取り組むという。コンビニは従来、値引きに消極的だった。多くの本部は「商品のブランド力を維持する」などの理由で定価販売にこだわってきた。本部が店主と結んでいるフランチャイズ契約では、廃棄費用の大半は店主にまわる。本部は「食品ロス」よりも販売機会を失う「機会ロス」を避けることに熱心で、多めの発注を店主に求めてきた。最大手セブンによる値下げ販売の制限に対し、公正取引員会は2009年、独占禁止法違反にあたるとして排除措置命令を出したが、それでも値下げは広がらなかった。だが、食品ロスの問題も岐路を迎えた。人手の不足と人件費の上昇に苦しむ店主にとって、廃棄の負担はより重くのしかかるようになった。恵方巻きなどの大量廃棄が注目され、世間の風当たりも強まった。セブンやローソンの一連の実験では値引き費用をすべて本部が持っており、店主にとっては負担が軽くなる。評価する店主がいる一方、「もっと大幅な値引きをしないと意味がない」との声もある。期限の近い商品の大幅値引きはスーパーでは珍しくはないからだ。コンビニ業界にも野心的なチェーンはある。広島市に本社を置くポプラは、期限間近の商品を5割引きで売っている。実施店は一部だが、パンや菓子などの対象商品をスマートフォンのアプリで知らせ、購入を促す。売上高の一部は開発途上国の給食支援にあてており、環境問題に関心のある客も狙う。ファミリーマートは、予約販売によるロスの削減をめざす。ウナギ弁当やクリスマスケーキといった季節商品を今年から、完全予約制にした。夏のウナギ弁当の場合、売り上げは減ったが廃棄も減り、店主の利益は増えた。来年1月からは、レジ脇のおでんも見直す。数種類が入ったセットを、客の注文を受けてからレンジで温めるようにする方向という。(土居新平)
朝日新聞2019年11月14日夕刊7面:本部と加盟店主どんな関係? 全国に5万5千余りあるコンビニの大半は、本部の直営ではない。外部から加盟店を募るフランチャイズ(FC)方式だ。その行方は本部は加盟店に対し、店を運営するノウハウや店名の使用権などを提供し、その対価を経営指導料として受け取る。そんなFC方式は米国が起源とされる。日本では1960年代から広まった。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンといった外食でも採用されている。国内のコンビニ大手は70年代に生まれ、FC方式をてこに急成長した。店舗網を広げやすく、店員も本部が抱えなくて済む。百貨店やスーパーが90年代のバブル崩壊後の不況とデフレにもがく中、コンビニは「一人勝ち」となった。本部は加盟店との「共存共栄」をうたう。加盟店の店主は独立した事業主であり対等のビジネスパートナーだと、契約で位置づけている。しかし、実情は裁量権が限られた「名ばかりオーナー」だという声が、党の店主たちから上がった。店主たちは「営業時間も仕入先も自由に選べない」「日々の売上金も本部が管理しており、自由にできない」などと訴えた。店主は人件費など店の運営にかかる費用の多くを負担し、事業失敗のリスクも負っている。本部との関係がこじれてFC契約が更新されなければ、生活の糧を失いかねない。こうした不満を背景に、セブンーイレブンやファミリーマートの店主らが「労働組合」をつくり、団体交渉に応じるよう、それぞれの本部に要求。各本部は「店主たちは労働者ではない」として団交を拒んだ。労働紛争を処理する地方の労働委員会は14年から15年にかけて、団交拒否は不当労働行為にあたると指摘。店主らを労働者と認めて団交に応じるよう各本部に命じた。このうち東京都労働委員会は、本部が店主に命じた。このうち東京都労働員会は、本部が店主に終業時間を示したりマニュアルに基づく清掃を求めたりしていたことなどを根拠に、店主は労働組合法上の労働者にあたると判断した。しかし、セブンとファミマの本部は、不服として再審査を求めた。中央労働委員会は19年3月、地労委の命令を取り消し、店主を「独立した事業者」と認定した。FC契約上は本部も店主もそれぞれの事業者だとして「店主が本部に労務を供給する関係とは言えない」とした。中労委の命令を不服とした店主たちは9月、中労委の命令を取り消すよう国を相手取った行政訴訟を東京地裁に起こし、係争中だ。不満を抱く店主は少数ではない。経済産業省が今春実施し、大手など8社の店主計1万1307人が答えたアンケートでは、各本部との契約について「満足していない」との回答が39%にのぼった。ファミマは営業時間を24時間より短くする時短の容認に乗り出す方針。コンビニのビジネスを持続させようと、店主との関係を見直し始めた。(内山修)
朝日新聞2019年11月15日夕刊9面:キャッシュレス決済各社の戦略は? 10月からの消費増税にあわせ、政府はキャッシュレス決済への国負担でのポイント還元を導入した。これを追い風に、コンビニは電子マネーやスマートフォンを使った決済に力を入れている。各社の戦略はどうなっているのか。今回の増税は8%から10%になったが、コンビニの主力商品である飲食料品には軽減税率が適用され、8%のままだ。さらに、コンビニのフランチャイズ店でのキャッシュレス決済には2%分の還元がある。増税前よりも事実上、値引きされていることになる。効果は出ている。増税後、コンビニ各社の決済に占めるキャッシュレスの割合は跳ね上がった。集計の時期にはばらつきはあるが、9月から10月にかけて、セブンーイレブンでは35%から42%に、ファミリーマートでは20%から25%に、ローソンでは20%から26%になった。キャッシュレス決済全般の利用を促す点で、3社は共通している。一方、キャッシュレスのうち、今後の伸びしろが大きいとみられているスマホ決済のサービスを自前で進めるかどうかは、戦略の違いが際立つ。ローソンは3社の中で最も早く2017年に「LINEペイ」や、訪日中国人向けの「アリペイ」などを導入した。現在扱うスマホ決済は計10種類にのぼる。自前のスマホ決済はひとまず導入していない。「お客様にとって使い勝手のいいサービスは、それぞれ異なる。好きなものを使っていただければ」と広報担当者は話す。一方のファミリーマートは昨年11月から「PayPay」など対社のスマホ決済サービス「ファミペイ」を始めた。ファミペイのダウンロード数派9月末には370万に達したという。多くのスマホ決済が乱立するなか、自前の決済をわざわざ導入したのは、データの獲得や顧客の囲い込みのためだ。広報の担当者は「顧客がどんなものをいつ買っているのかを把握し、クーポンなどによる販促活動につなげたい」と話す。セブンは、ファミマと同じく7月から自社のスマホ決済をスタートしたが、大きくつまずいた。 「セブンペイ」はサービス開始直後に不正アクセスを許し、約800人が計3800万円の不正利用の被害を受ける事態に発展。「2段階認証」など基本的なセキュリティー対策をしていないことが明らかになり、9月末には、開始からわずか3ヵ月でサービスの廃止に追い込まれた。現在は、他社のスマホ決済や、自社の電子マネーnanaco(ナナコ)を中心にキャッシュレス化を進める。広報の担当者は「キャッシュレスは自社サービスでの陣取り合戦ではなくなってきた。いろいろなものをそろえることで利便性を提供したい」と話す。セブンペイの失敗を踏まえ、戦略を変えざるを得なくなったようだ。=おわり (栗林史子)

 

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