11月10日 最高裁判事 女性の視点あると

朝日新聞2019年11月5日22面:元判事3人がパネルディスカッション 最高裁判所の裁判官に女性の視点があると、一体何が違うのでしょうか。10月、大阪府内でパネルディスカッションがあり、実際に判事を経験した当事者らが、判決への影響や最高裁の果たす役割などについて語り合いました。 弱者に理解/バイアス気付く 「女性の視点が変えていく 最高裁判事を経験して」と題し、近畿弁護士連合会などが主催した。登壇したのは、2013~17年にそろって最高裁判事を務めた桜井龍子さん、鬼丸かおるさん、木内道祥さん。この時期は岡部喜代子さんも在籍し、最高裁判事全15人のうち、女性が過去最高の3人だった時期でもある。今は2人に減っている。15年の選択的夫婦別姓を求める訴訟の最高裁判決では、請求を認めなかった。だが、女性3人と木内さんら計5人の判事は、判決につく個別意見で、夫婦同姓を定める民法750条を「違憲」とした。パネルディスカッションでは合議の際、女性と男性による違いを感じたか問われた。鬼丸さんは「『弱者の視点』が男性の勝ち組の最高裁の裁判官にはないのでは」と感じたという。「女性の方が、弱い立場にあると感じた」と振り返った。桜井さんは、「判断の内容に違いはない」とする一方で、女性差別が絡む事案では「差別を経験したことがあるかないかの感受性、判断基準の違いが出た」とし、選択的夫婦別姓訴訟を例にあげた。木内さんも「男女の違いを感じることはまずない」としながら、「全員男性」には問題があるとも。「バイアスのある人間は、自分にバイアスがあると分からない」とし、議論の場に女性判事がいることで「『バイアスがあるんじゃないの』と指摘を受けた上での判決になる」との見解を示した。話題は裁判だけでなく、女性とキャリアにも。櫻井さんは個人的な困難にぶつかっても「『先輩かたバトンを受け取ってがんばる』という社会的な使命があると考えれば、がんばれるじゃないか」とアドバイス。鬼丸さんは地震が最高裁判事を打診された際に「女性が引きけないと続かない」と言われて決心したことを紹介した。
社会の意識 法より古い例も 最高裁の現状や「限界」についても議論が及んだ。『木内さんは「法律が時代に追いついていないと言われることがあるが、社会の意識の方が古いこともある」と指摘。具体例として女性が子どもを連れて再興した場合、女性の再婚相手を「義父」と呼んだり、子どもに「お父さん」と呼ばせたりする習慣を挙げ、明治民法の考えを引きずっていると指摘した。今の民法では養子縁組しない限り親子とはならない。一方、桜井さんは、自身が担当したDNA検査と親子関係についての訴訟に言及。妻が夫は別の男性と交差し、出産した子について、DNA検査によって法律上の親子関係が取り消せるかが争われた。14年の最高裁判決は、一、二審の判決を覆し、結婚している妻が出産した夫の子とする民法の規定(嫡出推定)を優先し、親子関係の取り消しを認めなかった。桜井さんは「こういう事態は今後、十分考えられる」とし、現在の居や子関係の組み立て全体をよく吟味するよう個別意見を書いたことを紹介。本来は立法で対応すべきで、「最高裁としての限界だったと感じる」と話した。(田中聡子)

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