11日てんでんこ南海トラフ17

朝日新聞2017年3月8日3面:地元企業が300億円を寄付。意気に感じて一丸に。「これが浜松の精神」 見渡す限り続く砂浜。土煙を上げて行き交う何十台もの大型ダンプ。静岡県浜松市の海岸で巨大な防潮堤の工事が進んでいる。
「カン、カン」。昨年11月の週末に開かれた工事の見学会で、県浜松土木事務所沿岸整備課長の伊東信幸(51)が、堤防の上の地面を金づちでたたいた。「土砂にセメントを混ぜて堤防の芯を強くしています」。金づちを渡されて試す見学者に説明した。
「防潮堤は長さ約17.5キロ、高さ約13メートル。南海トラフ巨大地震で、最大14.9メートルと想定される津波が乗り越えても、堤防が削られて倒れないようにする備えだ。 「東北の映像を見て衝撃を受けた。近くの実家によく遊びに来ているので心配です」。見学に来ていた仲山良太(43)は、小3の息子と防潮堤の模型を見入った。
砂丘と松林のある浜辺は、たこ揚げ合戦で知られる浜松まつりの舞台。家庭の神事に使う砂も採取され、市民に身近な場所だ。 防潮堤は、浜松で創業した住宅メーカー一条工務店グループが、東日本大震災直後の2012年、建設費300億円を県と市に寄付したことで事業が具体化した。
完成すれば、最悪の場合で市中心部の浜松駅に迫る津波が、駅より3キロほど海に近い国道1号で止まり、浸水域も津波の威力が抑えられ、避難時間を確保できると期待される。「一条さんだけに任せてはいけない」。浜松商工会議所会頭だった御室健一郎(71)は、会員約1万4千社に寄付を呼びかけた。「1社1日100円運動」が始まり、市民からも含め、今年2月までに4178件、11億7203万円に達した。市の予算から35億円、職員や議員から5億円以上が集まった。
建設費の高騰で、事業費が400億円になるとの県の試算が出ると、工事を請け負う地元業者からは、強度を保ちながらセメント使用量を減らすなどコスト削減案が次々に出された。土砂が不足しているという話が伝わると、建設現場から出た土砂の提供も申し出も相次ぎ、現場の伊東たちは力づけられた。「これが浜松の『やらまいか』(やってみよう)精神か。地震や津波に負けず、意気に感じて一丸となっている」(大内悟史)
備え 「自分たちの生命・生活を自ら守る」という市民全体の思いが重要(浜松商工会議所の寄付呼びかけ)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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