11日てんでんこ マイ電力⑪

朝日新聞2017年5月9日3面:電力の需給調整を自前でやることが、地域でお金を回すカギとなる。 4月8日午前0時、地域新電力会社「ローカルでんき」(秋田県湯沢市)が電気の供給を始めた。社長の山内雄司(55)は早朝から出社、モニターの予測と実側のグラフが動くのを見て、ほっと胸をなで下ろした。
その3日前、同社の菊地鉱之(34)は、同僚と横浜市内で電力需給調整の研修を受けていた。前職は英会話教室の事務職。主婦だったほかの2人も電気のことは知らない。菊地はパソコン画面をにらにながら、「需要を予測するのは難しい」ともらした。
電気を安定させるには、需要と供給の量を合わせなければならない。小売り電気事業者は、季節や曜日、天気などを考慮して30分ごとの需要を予測し、発電所や市場から電気を調達して需給を調整する。
昨年4月の電力小売り全面自由化を機に、全国各地に地域新電力が生まれた。だが、需給調整についてはコンサルティング会社などに丸投げするところが多い。「難しくてできない」と思うからだ。需給調整の外部委託にはかなりのコストがかかるので、地域でお金を回すという本来の目的を損ないかねない。
山内が幸運だったのは、地域新電力の立ち上げを支援する一般社団法人「ローカルグッド創成支援機構」の事務局長、青山英明(39)と出会ったことだ。「難しくないですよ。お金もかかりませんし」と言われて、あっけにとられた。「あっそうなんですか」
研修を終えた社員3人は、供給開始の前日に湯沢市に戻った。スタート当初は需給調整に苦労したが、予測と実側の差は5%以内に収まるようになってきたという。菊地は「割とできるもんだな」と思っている。
現在の供給先は、湯沢市役所や小中学校など市の関連施設二十数カ所。6月以降はホテルや工場にも広げる。年内には家庭への供給も考えている。社員も4人に増え、地域内でのお金の循環は進んでいるように見える。課題は電源だ。現在は多くを卸電力市場に頼っているので「地産地消」とは言えない。
「いずれは供給電力の7割以上を、地熱発電や小水力など、地元の自然エネルギーでまかないたい」と山内は言う。(石井徹)

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