11日 問う「共謀罪」 

朝日新聞2017年6月7日29面:国際政治学者 三浦瑠麗さん(36)みうら・るり 東大政策ビジョン研究センター講師。著書に「日本に絶望している人のための政治入門」「『トランプ時代』の新世界秩序」など。
安全と自由の両立、議論足りない 「自由は侵害しない」。そんな説明が本質をかすめせる。
テロ対策のため国際組織犯罪防止条約に入ることには賛成です。国内的な根拠法も不要とは思わない。ただ、現在の組織的犯罪処罰法改正案は刑法体系を根底から変える。対象となる277の罪が、準備段階で罰するほど重大か検討が足りていません。
テロとは「国家や社会に対する罪」です。国際社会から見ると、日本はテロへの危機意識が薄いイスラエルではホテルに入る車を金属探知機で調べるのが当たり前。日本でも不特定多数の人が集まる「ソフトターゲット」を守るには警備能力の強化が欠かせない。でも、それは法案とは関係ありません。
政府は一般人の自由は侵害しないといい、その説明を真に受けている人が多い。結果として「安全」と「自由」は時に対立するものという本質的議論が深まっていません。安全と自由を両立させるためには「組織的犯罪集団」の定義を明確にし、罰する対象をはっきりさせる必要があります。
私が特に心配するのが法案のビジネスへの影響です。ライブドア事件でのバッシングを思い出してださい。日本社会は経済犯罪に非常に厳しい。例えば、企業の節税を手助けする国際的な専門家チーム。法人税法や会社法なども対象になる今の法案では、彼らがあいまいな定義のまま組織的犯罪集団にされるおそれがあります。
一方で、朝日新聞を含むリベラルメディアの反対論にも違和感がある。「治安維持法の復活」といった批判は歴史的な文脈を無視した極端な言い方です。私が出演するフジテレビの「ワイドショー」で、松本人志さんが「共謀罪」について「いいんじゃないか」と発言しました。まず、テロが怖いという庶民感覚がある。批判する側が極端な言い方をするほど、ふつうの人は引いてしまい、かえって賛成側に流れていく。
法体系における罪と罰のバランスは必要だし、捜査機関の裁量はなるべく小さい方がいい。冷静な批判を続けるしかないと思います。(聞き手・岩崎生之助)

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