10月3日 新聞から学んだこと

東京新聞2017年9月26日21面:加藤寛一郎 伸び伸びした国に 毎朝、マクドナルドで原稿を書く。常連の一人から都議会政党のパンフレットを渡された。「議員報酬を削減」「身を切る改革」の大きな文字。同じことは依然、国会議員についても言われた。自らを律し、反対しにくい。しかし国を先導する人たちの報酬を減じたら、優れた人材が集まりにくいのでは。長期に見れば、国の発展を防げると思う。
もう一例。「『残業社会』を変えたい」。4月16日東京新聞社説の見出し。過労死は悲惨だ。モーレツ残業は健康を害す。しかし、仕事が恋人という人間もいる。日本は自制や規制で満ちている。みな正義を支える手だてで、反対しにくい。しかし社会の活気を失わせる一因ではないか。活気のなさは、人口減に現れていると思う。「日本の人口は2065年に8千8百8万人に減少し、15年から約3割少なくなると推定される」(5月7日東京新聞「世界を読もう」)。
かつて日本にも、伸びらかな時代があった。私ごとで恐縮だが、1960年代前半、私は岐阜の川崎航空(当時)で働いていた。私だけは毎日、定時(午後2時50分)で退社し、独身寮で自分のための仕事を、毎晩6時間ほどしていた。
当時はコンピューターの導入期で、使用は順番待ちを強いられた。私は休日は朝から出社し、コンピューターを独占使用した。スト中にそれを行い、スト破りと吊るし上げられたこともある。その労組は地元の祭りの日には必ずストを打つほど融通が利いた。
当時私はアメリカに憧れ、実際ボーイング社に職を得た。アメリカは天国に思えた。しかし同時に、日本の良さにも気付いた。バブル経済崩壊のころ、国外に出る仕事が多く、住むなら日本が一番と思った。いま年金生活者で、本欄執筆のため新聞を多く読む。その情報に基づけば、住む国は今も日本が一番と思う。
しかし孫たちのことを思えば、日本はもっと伸び伸びした国になってほしい。そのためには優れた人材が要る。議員報酬の増額はそれに資するであろう。夜討ち朝駆けを好む記者氏は、きっと社会を活性化する。
その中から格段の人材が現れることを乞い願う。優れたリーダーが国をよみがえられた例は、史上推挙にいとまがない。(東京大学名誉教授)
「新聞から学んだこと」は今回で終了します。

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