10月26日 男性も更年期障害

東京新聞2017年10月24日26面:イライラ、肩こり、眠れない、年のせいじゃないかも・・・ 心身にさまざまな不調を起こす更年期障害。女性の病気と思われがちだが、男性にも起こることはそれほど広く知られていない。認知度が低いため加齢や疲れが原因と思い込み、診療につがらない人もいるが、放置すると心筋梗塞や脳卒中といった深刻な病気に発展しかねない。病気への理解を深めつつ、普段の様子を知っている家族の気付きも大切だ。
横浜市のシステムエンジニアの男性(52)は6年前、以前なら気にならないことにイライラしたり、新しいことが覚えられなくなったりするようになった。仕事で納期が迫り、毎日数時間の残業が続いていた。「ボーッとして思考停止になったり、急につらくなったりした」 うつ病を疑い、精神科を受診したが検査は異常なし。医師は「会話がしっかりできている。問題ない」と言う。肩こりもひどく、整形外科にも行ったが、改善しなかった。
不調は続き、仕事も無理のないものに変えてもらった。症状が出て半年たったころ、男性の更年期障害を特集した新聞記事を読んだ。「自分の症状が当てはまる」と専門外来のある「メンズクリニック東京」(東京都千代田区)を受診した。男性ホルモンの値が政情の範囲より低く、更年期障害と診断された。半信半疑でホルモン補充の注射を受けたが、一晩寝ると「頭の中がはっきりして、しゃきっと背筋が伸びるような感覚だった」。今も3.4ヵ月に一度、血液検査をして経過を見つつ、安定した状態を保っている。
男性は「男性更年期障害という言葉すら知らなかったし、自分がなるとは想像していなかった」と振り返る。男性更年期障害は誰にでも起こり得る。症状は女性の更年期障害とほぼ一緒。潜在患者数は600万人とも言われる。しかし男性の更年期はまだまだ一般的には知られていない。こんなデータがある。2011年に40~65歳の男性50人らを対象に行った調査。「男性更年期障害を聞いたことがない」との回答は445に上った。一方、女性を対象とした同じ調査では、17.5%にとどまった。調査に参加した山梨県立大看護学部の名取初美教授(母性看護学)は「女性は閉経があるので更年期障害について知る機会が多い。一方、男性は体の大きな変化がないので知る機会が少ないのでは」と推測する。認知度を上げる方法としては「健康診断や人間ドッグの際に啓発したり、男性に比べて更年期障害についてよく知っている妻が気付いて指摘したりすることが大切では」と提言する。
男性ホルモン注射で治療 男性更年期障害に詳しい順天堂大浦安病院泌尿器科の辻村晃教授に症状や治療について聞いた。男性更年期障害は正式には加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群と呼ばれる。男性ホルモンの一種、フリーテストストロンが急に低下して起きるとされる。主な症状は、身体面では筋肉量の減少や骨密度の低下、発汗異常やほてり、関節痛など。精神面ではうつ状態になったり不安感が出たり。怒りっぽくなることや認知力の低下が起きることもある。勃起力の低下や射精の不調など、性欲がわかない症状も出る。放置すると中性脂肪の増加などにより心筋梗塞や脳卒中につながる恐れもある。
治療法は月1回程度の男性ホルモンの注射が基本。患者は50,60代が中心だ。新聞やテレビを見て症状が当てはまると思って訪れる人が多いが、中には妻から「様子がおかしいから受診して」と言われてくる人もいるという。当てはまる症状が出ていれば、「年のせい」と片付けず、専門の外来がある医院や泌尿器科を受診する。 (寺本康弘)

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