10月18日 みんな電気の挑戦「上・下」

朝日新聞2019年10月16日7面:再エネ市場つなぐ異端児 ひらめきは、10年ほど前に突然やってきた。再生可能エネルギー主体の新電力「みんな電力」(東京都世田谷区)の大石英司社長(50)が、まだ印刷会社で新規事業を担当していたころのことだ。出勤中の地下鉄の車内。前に座った女性がバッグにキーホルダー型の太陽光電池をぶらさげていた。携帯電話の充電用だった。自分の携帯の電池は切れかかっていた。<もし、いま、充電させてくれたら、200円ぐらい支払ってもいい・・> 再エネによる電力を、みんながつくって使う。その間をつなぐことができたらー。そんな発想がうまれた。太陽光充電の事業化を社内で提案したが、評判はいまひとつ。もんもんとしていたころ、中小企業の経営者として苦労を重ねてきた父は病に伏せっていた。「お前もいい年だから独立しては」。父の最後の言葉に押され、会社を立ち上げた。東日本大震災直後の2011年5月のことだ。「手のひらサイズの太陽光充電器」を売り出したものの、原価が髙く赤字が膨らんだ。妻には食費を1日単位で渡すような苦しい生活が続いた。そんな状況に光明が差す転機が訪れる。16年4月の電力の小売り自由化だ。みんな電力は、ある「秘密兵器」を手にした。電力の「買い手」が、パソコンやスマホの画面を見ながら「応援したい再エネ発電」を選び、資金支援できるというシステムだ。「原発の電気は嫌」と感じる消費者らの関心を集めた。18年には、暗号資産(仮想通貨)などにも使われるブロックチェーン技術を用いた電力流通システムを導入。使っている電気がどこから来たのか、という「産地証明」を可能にする仕組みが、当たった。追い風になったのが、15年末に定められた地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」だ。アップルやマイクロソフト、ソニーなどが加盟し、再エネ100%を目標に掲げる国際企業ネットワーク「RE100」もできた。約200社が加盟する。そのうちの1社、丸井グループは18年9月、主力店舗の新宿マルイ本館で、みんな電力の新システムを試験導入した。これにより同館の再エネ利用率は9割超に。「RE100の基準に照らすと、みんな電力さんの技術がベストでした」と、丸井グループで導入を担当した塩田裕子さんは語る。みんな電力と契約した再エネ発電所は、当初の7カ所から、約200ヵ所に増えた。19年3月期の売上高は36億円に達し、20年3月期には倍の80億円台を見込む。(小森敦司)
朝日新聞2019年10月17日7面:産地見えるつながるメリット 再生可能エネルギーの電力販売で業績を伸ばすみんな電力(東京都世田谷区、大石英司社長)。ブロックチェーン技術で電力の「産地証明」ができる仕組みに、企業や自治体からの引き合いが相次ぐ。今年9月65日、下北半島中部に位置する青森県横浜町で、町も出資する「よこはま風力発電」が運営する風力発電所からの電力供給開始式があった。陸奥湾に面し、風が強い地形を生かし、14基の風車で電気を起こす。その主要な送り先となったのが、同じ「ヨコハマ」の名を持つ横浜市だ。両者をつなぐのが、みんな電力の電力流通システムだった。式典で野坂充町長(68)は経緯を語った。「以前から(同じ名の)横浜市さんとは、つながりを持ちたい、と。みんな電力さんに打診をお願いしました」巨大都市・横浜市とながりを持つことで、横浜町には「特産のホタテやナマコも横浜市の中華街で使ってもらえたら」(野坂町長)という期待も膨らむ。メリットは横浜市にも。「再エネの電気の調達環境を整えることが、(横浜市の)国際都市としての競争力に直結する」と、市温暖化対策統括本部の薬師寺えり本部長は言う。温暖化問題に熱心に取り組まねば、企業誘致の面で都市間競争に勝てない。そんな危機感が背景にある。企業側のメリットはどこにあるのか。今回、横浜町産の電気を買うのは横浜市内に拠点を持つ6社。その一つ、大川印刷(戸塚区)はシウマイ弁当で有名な崎陽軒などに包装紙を納入する中堅印刷会社だ。使用電力のうち80%が「横浜町産」になるという。大川哲郎社長(52)は「シウマイ弁当の掛け紙(包装紙)に「横浜町産の電気です』と書けたらなと思うんです」。先駆的な環境対策が信用になるという。みんな電力はこれまで個人や家庭向け販売には慎重だった。価格競争を警戒したのだが、電気の生産者の「顔の見える電力」を広めるために攻勢に転じようとしている。「史上初! 電気の店頭販売」みんな電力とコラボし、8月下旬から10月初旬までのキャンペーンを展開したのは、セレクトショップの草分けで、現在、国内外に約160店舗を展開する「BEAMS(ビームス)」だ。みんな電力と契約する福島、千葉、長野3県の再エネ発電所でつくられた「電気3千円分」をプリペイドカードににし、東京・新宿の旗艦店「ビームスジャパン」で販売。カードを買うとさまざまな特典を受けられるようにした。さらなる知名度のアップが課題だが、みんな電力の三宅成也専務(48)は言う。「電気を選ぶことは楽しいし、つながる安心感や満足感があると分かってきた。今度はそれを広く訴求したい」(小森敦司)

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