10月15日 新聞を読んで 森健

東京新聞2017年10月8日5面:この2週間が腕の見せ所 9月17日に「年内解散へ準備本格化」と1面で報じたときには、民進党勢がこれほど注目されるとは誰も想像していなかっただろう。当時、東京新聞は臨時国会を前に「検証『加計』疑惑」(17日~)で安倍晋三首相の疑惑をあらためて掘り下げたり、安保法制定から2年という時期での解散に「安保法衆院選争点に」(19日1面)と政権をただす検証系の報道に力点があった。ただし、紙面の中心は依然政権側で、大義のない解散に「違憲の疑いはないか」(25日、社説)といった批判が多くを占めていた。
流れが一変したのは25日移行だ。まず首相の解散表明にぶつけて小池百合子東京都知事が新党「希望の党」を発表。さらに3日後には前原誠司民進党代表が「どんな手を使ってでも安倍政権を終わらせる」(28日夕刊1面)と民進党の候補者を希望の党から立候補させるという自爆テロのような奇策を発表した。この激震以降、希望と民進を中心に報道が回りだした。東京新聞も野党再編を大きく扱いだしたが、扱い方は慎重だった。解散翌日の29日朝刊、本来なら総選挙の争点「改憲か護憲か」「森友・加計問題」だったはずだが、1面トップの中見出しは「強まる政権選択色」という慎重な文言だった。
そうした編集方針になったのは小池氏と前原氏の信条が改憲支持など自民党と近かったためだろう。社説は「希望の党が民進党に代わる政党となり得るのか」と疑問を示しつつ、「強引な『安倍政治』に審判を下す機会と前向きに受け止めれば、光明が見いだせるのではないか」と苦渋に選択であることをにじませた。
懸念はまもなく的中する。希望の党は前原氏が求めていた民進党出身者の「全員公認」を拒み、候補者を選別、「排除」しはじめた。また数日後には政策協定書となる「踏み絵」を候補者に示したことが明かされ、早くも狭量な馬脚をあらわす格好になった。
今月1日の社会面では希望側への民進党側の反発を素早く報道。小池氏は「新たな独裁」との候補者の批判を伝えた。すると事態が動いた。枝野幸男民進党代表代行が「リベラル新党」の結成検討を発表(2日2面)、立憲民主党結党につながったのである。
立憲主義と民主主義の基本を掲げる結党理念。リベラル系有権者としては待望していた政党だっただろう。3日の特報面で待っていたかのように「リベラルの価値」を報道。「強権や独裁と無縁の民主的な政治風土」という意味合いはだと論じた。
自民と公明、希望と維新、立憲と民進系無所属に共産と社民という三極構図は整った。大型の野党再編が動かす総選挙にどれだけ有権者がついてこられるか。この2週間こそが新聞の腕の見せ所だろう。(ジャーナリスト)*この批評は最終版を基にしています。

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