10月11日 「ねんきん定期便」印刷20社談合か

朝日新聞2019年10月8日夕刊1面:毎年6千万件作成20億円 高コスト指摘 日本年金機構(東京)が年金加入者に送る「ねんきん定期便」の作成業務で入札談合が繰り返されている疑いがあるとして、公正取引委員会は8日午前、東京や大阪に本社がある印刷業者約20社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査を始めた。公的年金を担う機構の発注額が高止まりしていなかったか、実態解明を進めるとみられる。 公取委が立ち入り 立ち入り検査の対象となっているのは、「トッパン・フォームズ」(東京)、「共同印刷」(同)、「ナカバヤシ」(大阪)など。関係者によると、印刷業者らは遅くとも数年前から、機構が発注するねんきん定期便に使われるはがきや封書を印刷する業務の入札で、入札額や受注する数量を事前に調整していた疑いがある。ねんきん定期便の作成業務の発注は原則として一般競争入札方式で行われるが、発注総枚数が毎年約6千万件に上るため、複数の業者が落札できる仕組みになっている。入札参加業者は入札額とともに受注を希望する数量も提示しており、最初の入札で予定価格を下回った業者の合計希望数量が発注総数に達しなければ、入札は続けられる。各社はこうした仕組みを利用し、佐所の入札で受注できなかった業者も次の入札で落札できるよう入札時に提示する受注希望数も調整し、各社が希望する量を確保していた疑いが持たれている。国民の老後を支える公的年金をめぐっては、2007年に約5千万件の年金記録の持ち主がわからない「宙に浮いた年金」や、保険料を支払ったのに記録がない「消えた年金」が大きな問題となった。ねんきん定期便は、過去の保険料の納付実績や将来受け取る年金の見込み額を知らせるため、日本年金機構の前身の社会保険庁が09年4月から発送を開始したものだ。毎年誕生月になると、35、45、59歳の人は過去すべての納付状況を示した封書が、それ以外の人には直近1年間の状況を記録したはがきが届く。国民年金と厚生年金の現役加入者すべてに送られるため、毎年の送付件数は約6千万件に上り、事業規模は年間60億円。今回談合が疑われている作成業務には、全体の3分の1にあたる約20億円が毎年支出されている。財源は国民が納付した保険料という。年金問題に詳しい日本総研の西沢和彦・主席研究委員はねんきん定期便について、「将来設計を立てやすくしたという意味では一定の役割を果たしてきたと言える」と話す。一方、郵便による通知はコストがかかりすぎるとし、「今後はインターネットの利用をデフォルト(初期設定)とすべきだ」と指摘。自分の年金情報を調べられる「ねんきんネット」の普及に向けた環境を整えるよう提案している。 「目隠しシール談合」有罪受けた業者も 8日に立ち入り検査を受けた業者の一部は、旧社会保険庁が発注するプライバシー保護用の「目隠しシール」でも談合したとして、1993~94年に刑法の談合罪や独禁法違反罪で有罪判決を受けた。この際は不当な利益を税金から得ていたとして、社保庁が業者を相手取って返還訴訟を起こす事態になった。経済産業省の工業統計調査によると、「印刷・同関連業」の2017年の出荷額は5兆764億円で、5年前から7.4%減。事業所数も同期間で2割以上減った。業界関係者は「『目隠しシール談合事件』の直後、省庁発注事業の入札は原価割れ落札が多くなって全くもうからなくなった。さらに『ペーパーレス』が進むなど、印刷業界の旧来ビジネスは縮小傾向にある」と語る。全国の印刷業界団体が所属する日本印刷産業連合会(東京)の担当者は、「インターネットの普及で出版業界を中心とした落ち込みが大きい」とする一方、「ネットとの融合が進められるなど、下降曲線は緩やかになっている」とも話す。(中野浩至)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る