10日てんでんこ南海トラフ16

朝日新聞2017年3月7日3面:市庁舎をどうするか。漁港の津波対策は・・・。市長選で舌戦が繰り広げられた。 静岡県焼津市で昨年の末にあった市長選。争点は市役所の建て替え問題だった。庁舎はJR焼津駅に近い市中心部にある。焼津漁港から約500メートル。南海トラフの巨大地震による津波の想定浸水深は1メートル超だ。
12月8日夜の公開討論会。「市庁舎が津波で被災すれば復旧・復興が遅れる。過去の震災や水害を教訓に」と元市議で新顔の岡田光正(64)は訴えた。これに対し、現職の中野弘道(60)は「津波対策が済めば、現在地でも安心、安全だ」と説いた。
選挙は、中野が再選を果たした。焼津市の人口は14万人。東日本大震災後の5年で約5千人減った。不動産業を営む焼津第五自治会長、小池義人(69)は「賃貸住まいの若い世代が引っ越し、高齢者が取り残された」と考える。昨年、住宅地の公示価格の下落率が全国で最も大きかったのは、焼津市の港に近い地点だった。
中野は、30年前の港町のにぎわいをよく覚えている。「街ですれ違うとお互いの型がぶっかった」。市庁舎を内陸に移せば、港町はさらに衰退すると考え、「地震や津波は怖がりすぎず、正しく怖がるべきだ。対策は粛々と進めている」と繰り返してきた。
焼津は遠洋のカツオやマグロが主体。昨年の水揚げは約465億円で全国1位。カツオ節や練り製品など関連産業の売り上げは数千億円規模。市を支える産業に変わりはない。中野には苦い経験もある。東日本大震災後、津波の危険を伝えるテレビ番組に出た。対策を力説したが、漁業関係者らから「焼津は人の住む所じゃないのか」と、不満の声が上がった。「港町に津波が来る、来ないという話をしたら、どう説明したって危険な場所だと受け取られるでしょ」。津波対策は産業振興や街づくりと分けて考えられない。
「市民の生命財産はもちろん、港湾施設も産業も守りたい。津波から水揚げを守れば、被災後の町全体の立ち直りも早くなるはず」
市内では海岸堤防のかさ上げ、漁港の防波堤の強化が進む。さらに、中野は「多重防御」として港の開口部に水門を設けることなどを県に求めている。ただ、かかる費用、工法の具体化はこれからだ。(大内悟史)
備え 「人命を守る」だけでなく、「地域活動や産業の継続」の視点も重要 (焼津市の基本方針)

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