10日 人生の贈りもの 和田アキ子【8】

朝日新聞2017年6月7日27面:ひばりさんと2人カラオケ大会 美空ひばりさんのご自宅(東京・青葉台)で、お酒を飲みながらカラオケ大会を開いたことがありましたね。大会と言っても私とひばりさんの2人。今にレーザーカラオケだったかな、本格的な機械があったんですよ。
ですが、映像は流れるのに音が出てこない。ひばりさんも私も機械音痴。何をやっても駄目。どうしても歌いたかったひばりさんは映像だけ流し、割りばしをマイク代わりにして歌ったんです。「無法松の一生」。でも、これがうまいのなんのって。ゾクゾクと鳥肌が立ちましたよ。
≪美空ひばりさんは13歳年上。芸能界の大先輩、日本歌謡界に君臨した女王でもある。どんな逆境にあっても己を貫く強さが輝いて見えた≫ 自信に満ちあふれ、堂々としていましたね。「ミナミのアコ」で鳴らした私も「すごい!」という気持ちで胸がいっぱいでした。
だからひばりさんのご自宅に呼ばれるとうれしくてつい飲んでしまうんです。「泊まっていけ」と何度も言われ、あるとき困ってしまいました。テレビ番組の生放送の日だったんです。(親しかった)山城新伍さんに電話をかけて助けに来てもらったなあ。化粧の落としっこしたことも懐かしい。ひばりさんの眉毛が地毛だったのにはびっくり。「入れ墨じゃなかったんですね」と思わず口にしちゃった。するとひばりさん「ばかやろう、本物だよ」とつっけんどんに言うです。でも愛情たっぷりの「ばかやろう」。顔も笑っている。私が言うと怖くなってしまうのにこの差は何なんですかね。
≪「歌は私の命」がひばりさんの信条だった。プロの歌手の心構えを教えてくれたのも、ひばりさんだった≫ 一度、新宿コマ劇場へショーを見に行きました。何の歌だったか忘れてしまいましたが、前から5列目あたりに座っていた私に向かってニコッと笑い、人さし指を突き出したんです。「アッコ、こうやって歌うのがプロよ」。そう言われているようでした。 (聞き手 編集委員・小泉信一)

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