1月23日 悩める「風来坊」上

朝日新聞2020年1月17日7面:手羽先の元祖 相次ぐ閉店 看板の店名は消され、テナント募集のポスターが貼られていた。壁の大きな排気口は、少しさびついていた。名古屋から20分の住宅街にあるこのビルの1階。ここに手羽先唐揚げの元祖「風来坊」の1号店があった。創業者の大坪健庫さん(90)が1963年に店を開いた。後を継いだ店主も高齢になり、その後継ぎが見つからず、昨年9月に閉店した。風来坊は、鶏料理専門の居酒屋として始まった。かつて手羽先は、だしを取るぐらいにしか使われていなかったが、揚げてタレを塗って客に出したところ評判に。テレビCMなどで知名度を一気に広げた。大坪さんは弟子たちに「のれん分け」をして、店は東海地方を中心に広がった。独立後の経営は弟子に任され、味やメニュー、価格などは店ごとに違う。米ロサンゼルスにも進出し、ピーク時は国内外で86店を数えた。それがここ10年で25店ほどが閉店した。風来坊の「のれん分け」では、大坪さんが設立した商標管理会社「大健企画」の承認を受ける必要がある。さらに後継者に店を譲る時も同じで、「店主の家族」か「従業員」にしか継承を認めてこなかった。店の質の低下を嫌った大坪さんの方針だった。だが、かつて独立した店主たちも70歳以上が増えた。後を継ぐ家族や従業員がいなかったり、いたとしても継がかったりする場合もある。近年の外食産業の競争は激しく、手羽先を扱う居酒屋も珍しくない。風来坊は各店の経営が独立し、従業員を雇うのも店ごとだ。人手不足に悩む店もある。こうした事情から後継者が見つからず、閉店する店が増えている。ある店主は「風来坊の看板だけに頼れる時代ではなくなった。オーナーになることの魅が落ちているのかも」と話す。一方、風来坊の後を追って手羽先をメニューに取り入れた「世界の山ちゃん」。81年に名古屋で創業し、直営店を増やした。今は風来坊を超す約100店を国内外に展開する。ほとんどの店が東海地方にある風来坊とは異なり、東京や大阪などへも積極的に出店。東海地方以外での知名度では元祖の風来坊を上回る勢いだ。風来坊の店舗数は現在64店。店主の半数超は60歳以上だ。ブランド存続をかけ、風来坊はある決断に踏み切った。(石塚大樹)◇「名古屋めし」を代表する手羽先唐揚げ。名古屋では「風来坊」と「世界の山ちゃん」が人気を二分する。甘辛いタレが特徴の風来坊、コショウがきいてスパイシーな山ちゃん。名古屋では「風来坊派」と「山ちゃん派」で分かれるほど。だが最近、風来坊の閉店が相次いでいる。その背景と打開策を2回の連載で探る。

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