1月17日 もっと知りたい 年金「1・2」

朝日新聞2020年1月14日夕刊5面:公的年金どんな仕組みなの? 老後資金の「2千万円不足問題」や、5年に1度の年金財政検証など、昨年は公的年金のあり方が注目を集めた。まずは基本的な仕組みをおさらいしよう。日本の公的年金は、主に自営業者や非正規労働者、無職の人などが入る「国民年金」と、主に会社員や公務員などフルタイムの働き手が入る「厚生年金」に、大きく分かれる。国民年金の保険料は、月1万6410円(2019年度)基本的に固定額だが、世の中の賃金の動きにあわせて、年度ごとに微調整されている。1,2年分をまとめて前払いすると保険料が割引されたり、所得が低い人が申請すると保険料が免除・猶予されたりする仕組みもある。国民年金は、加入期間(20~59歳)の40年間すべて保険料を納めると、65歳から月6万5008円(19年度)の基礎年金が生涯、受け取れる。未納の期間があると、その月数に応じて金額が減る。実際の平均受給額は、約5.6万円だ。一方、厚生年金の保険料は、月収(標準報酬月額)の18.3%。これを、働き手と雇い主が半分ずつ負担する。働き手が自己負担する額は月収に応じて変わるが、月8千円~5万7千円ほど。たとえば、標準報酬月額が月36万円の人なら、本人の保険料負担は約3万3千円になる。厚生年金の額には、「1階」の基礎年金に加えて、「2階」の報酬比例部分が上乗せされる。平均の受給額は、月14.9万円(基礎年金を含む)。厚生年金に入る会社員らに扶養されている配偶者は、保険料を払わずに基礎年金が受け取れる。厚生労働省は、年金額の例など示す際の「モデル世帯」として設定しているのは、40年間ずっと平均的な収入(賞与を含めて月約43.9万円)で働いた会社員の夫と、専業主婦の妻の夫婦だ。この夫婦が65歳で年金を受け取り始める時の金額は、それぞれの基礎年金が6万5千円ずつ、さらに夫の報酬比例部分が9万円あるため、夫婦合計で月22万円になる。注意したいのは、公的年金を受け取るには、最低10年は保険料を納めなければいけないルールになっていること。「受給資格期間」と呼ばれる。以前は25年だったが、無年金になる人を減らすため、2017年8月から短縮された。日本は少子高齢化が進んでおり、年金財政は年々、厳しさを増している。20年前は現役世代4人で高齢者1人を支えていたが、今は2人で1人を支える。人口に占める65歳以上の割合(高齢比率)は、今は約29%だが、65年には38%超になる見込みだ。そのため今の制度では、年金の水準は今後、約30年間にわたって下がる見込みになっている。特に基礎年金の落ち込みが大きくなるが、65歳以上の2割近くを単身者が占めており、自分一人の年金しかない人も少なくない。生活保護を受けるお年寄りも増えるなか、年金水準の低下をいかに食い止めるかが課題になっている。(中村靖三郎)
朝日新聞2020年1月14日夕刊9面:年金水準、どうやって下げていくの? 日本の公的年金は、自分で納めた保険料を後で受け取るのではなく、その時々の現役世代が納める保険料で高齢者を支えるのが基本的な仕組みだ。少子高齢化で高齢者が増える一方、現役世代は減っている。それでも今まで通りの水準の年金を払おうとすれば、現役の保険料負担はどんどん重くなる。負担を変えなければ、年金財政が早く枯渇してしまい、将来世代の年金は大幅に少なくなる。そこで2004年の年金制度改革では、まず現役世代の負担が重くなりすぎないよう、保険料に上限を設けた。投入する税金と積立金を含めた「収入」を先に決め、できる範囲で年金を払うことにした。積立金を早く使いきって将来の年金水準が下がりすぎないよう、今から年金水準を少しずつ下げていき、約100年先も収入と支払いのバランスが取れるようにする。そのために導入した仕組みが「マクロ経済スライド」だ。年金額は毎年、物価や賃金にあわせて見直されている。物価や賃金が上がれば、その分だけ年金を増やすのが原則だが、この伸びを抑え、少しずつ年金の水準を下げる。抑え具合は、平均余命の延びや現役世代の減り具合で決まる。このマクロ経済スライドの仕組みをいつまで続ける必要があり、どこまで年金水準が下がりそうかを、5年ごとに試算してチェックしている。これが年金財政検証だ。政府は昨年、最新の検証結果を公表。今後の経済のシナリオを、楽観的なものから悲壮感的なものまで六つ想定し、それぞれのケースで将来の年金水準がどうなるかを試算した。政府は年金水準を、モデル世帯の「所得代替率」で表にしている。平均的な収入で40年働いた会社員と専業主婦の夫婦が、65歳で受け取り始めときの世帯年金額が、そのときの現役世代の平均的な手取り月収(ボーナスを含む)の何%になるかを示す。足もとの年金水準(19年度)をみると、モデル世帯の年金額が月22万円(2人分)なのに大して、現役世帯の平均手取りは月35.7万円なので、所得代替率は61.7%だ。上から3番目の中間的な経済ケースでは28年後の47年度まで続ける必要があり、その時の所得代替率は今より約2割低い50.8%になるとした。以降は収支のバランスが取れ、65歳時点の所得代替率は、原則として同じ水準が保たれる。ただ、この試算は経済の想定によって変わる。最も楽観的に想定したケースでは、所得代替率は51.9%で下げ止まり、最も悲観的なケースでは36~38%程度になるとの見通しも示された。実際は5年以内に50%を下回りそうになれば、年金制度を見直すことになっている。特に大きな課題なのが、基礎年金の水準低下が大きいことだ。中間的なケースでも、基礎年金の水準だけみれば3割近く落ち込む。国民年金だけで暮らすのは一層厳しくなるため、なるべくパートらを厚生年金に加入させる動きなどにつながっている。(中村靖三郎)

 

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