1日 全面(禁煙マーク)「唯一の解決法」

東京新聞2017年2月24日29面:日本批准の国際条約 麻生太郎財務相は20日の衆院予算員会で「(年間のたばこ税収の)2兆1千400億円がゼロになると多大な影響が出ることははっきりしている」と答弁した。喫煙者が「ゼロ」になるとは、少々おおげさだが、税収減は無視できない問題でもある。だが、受動喫煙はたばこを吸わない人の健康を問題だ。厚労省は昨年5月、受動喫煙によって肺がんなどの病気で年間1万5千人が亡くなっているという推計を発表した。こちらも無視できない。
健康被害は社会的コストでもある。一般財団法人「医療経済研究機構」が2010年に発表した「禁煙対策のありかたに関する研究」の報告書によると、喫煙で生じた医療費の超過分は約1兆7千億円で、喫煙関連の病気による超過労働力損失は約2兆3千億円。たばこが原因の火災などを加えた総計は約4兆3千億円に上った。対象は05年度。屋内禁煙を徹底すれば、税収減を補ってあまりある社会的コスト減につながるのではないか。
屋内禁煙で、飲食店の売り上げが落ちるという懸念についてはどうか。神奈川県と兵庫両県は、飲食店などを「屋内禁煙」とする条例を定めている。調理場を除く面積が100平方メートル以下の場合は喫煙許可と、それほど厳しくはないが、両県の担当者とも「客足などに大きな変化は起きていない」と口をそろえる。
愛知県は条例はないが、10年に県内の全飲食店の訪問調査を実施した。「屋内禁煙」の1163店のうち94%は禁煙にした後も売り上げ、来客数に変化がなかったと回答した。ただし「禁煙でもやっていける自信がある店が禁煙にしたため、この結果になった可能性がある」(県の担当者)。
売り上げにはほとんど影響はないという海外の報告もある。09年の国際がん研究機関の調べによると、受動喫煙防止の法制化に伴うサービス産業への影響を調べた論文のうち、たばこ関連産業からの研究助成などがない66の論文のうち63は「収入は減少しなかった」と結論づけている。
そもそも、世界保健機構(WHO)は03年、「たばこ規制枠組み条約」を採択し、日本も04年に批准していることを思い出す必要がある。条約のガイドラインは、受動喫煙による健康被害防止には「屋内での喫煙をやめることが科学的根拠に基づく唯一の解決法」と指摘する。条約を踏まえれば、屋内での喫煙は認められない。
産業医科大の大和浩教授(労働衛生工学)は「06年、スペインは店の広さで線引きしましたが、不公平だとして11年に全面禁煙になった。英国でも子どもが入店する可能性のある店が先に禁煙になったが、後にバーなども禁煙になった。先例を見れば、例外を設ける意味がない」と全面的な屋内禁煙を求める。
ただし、屋内禁煙の国では一般的に、路上喫煙は許されている。東京の都心で全面的に屋内禁煙になると、喫煙場所がなくなる。大和氏は「屋外の喫煙場所を増やすか、夜7時以降など子どものいない時間帯で、ポイ捨て厳禁で路上喫煙を許可するよう条例改正をすればいい」と語った。
受動喫煙による健康被害は家庭でも起きている。飲食店が禁煙になると、自宅での喫煙が増えないか心配だが「法で職場やレストランの禁煙が徹底されれば『喫煙は悪』と社会に広く認識される。英国では家庭での喫煙も減り、小児ぜんそくの入院患者が減少した」。(省略)

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