虐待防げーNPO、深夜に訪問

朝日新聞4月4日23面:川崎市の有料老人ホームで入居者が転落死した事件の発生は、逮捕された元職員の夜勤中でした。過去の深刻な虐待も夜勤帯の起きています。虐待を防ぐには「抜き打ち調査」が効果的とされます。こうした取り組みを行っているNPO法人の調査に同行してみました。
拘束・においチェック  熊本県人吉市にある特別養護老人ホーム「龍生園」。3月中旬の夜、真っ暗な照明玄関前にNPO法人「Uビジョン研究所」(東京都)の本間郁子理事長ら調査員2人が姿を見せた。
午後11時35分。インターホンを鳴らす。「Uビジョン研究所の抜き打ちです」。鍵をあけた夜勤の女性職員に抜き打ち調査実施書を渡す。
龍生園には117の個室と、ほかに短期入所用の個室16がある。表札のかかった居室の窓を開けて中をのぞく。
不適切な身体拘束がないかどうかに加え、「におい」も調査の重要ポイントになる。衛生面で問題がないか、後で確かめる必要があるためだ。居室のほか、トイレや浴室、台所も対象。冷蔵庫は扉をすべてあけてチェックする。 あるフロアでは、居室のタンスの上に未使用のおむつがむき出しで置かれていた。本間さんは指摘事項のメモに残した。「介護しやすいようにしているのでしょうが、プライバシーの問題があります」短期入所用のある居室ではベットの柵が取りつけられ、入居者の女性が自力でおりられない状況だった。「拘束ではないかな」。本間さんは女性職員に確認した。介護施設で原則禁じられている身体拘束には、ベットを柵で囲むことも含まれる。
入居者の女性の左手は青黒くはれあがっていた。肩を骨折しているのだという。職員によれば、ひんぱんに立ち上がろうとするため転倒の恐れがあると考え、柵をつけた。
「私個人の判断でした」と職員。やりとりの後、ベットから柵を取り外した。この日の担当は夜勤専門の職員だった。「利用者がひんぱんに入れ替わる短期入所を夜勤専門職員だけで対応するのは厳しいと思う」と本間さん。
別の部屋の扉に本間さんが耳を近づけた。もれ聞こえてくる職員と入居者の会話を盗み聞きする。「子ども扱いするような言葉づかいは虐待の温床になる。この職員は、丁寧な言い方ができています」 調査を終えると、施設側に結果を報告した。本間さんはまず、ベットの柵による「拘束」について伝えた。短期入所部分は正式契約上評価の対象外なのだが、重要な事柄だったためだ。
この日の夜勤者は7人で、1人が二つのユニット(最大計20人)を担当。龍生園によると、本来はユニット担当者に加えフリーの夜勤者1人をサポートとして配置していたが、退職などで一時的に人手を確保できなくなっていたという。4月以降は再びフリー夜勤者をつけるようにする、と説明があった。
課題を指摘する一方、本間さんは「利用者の話に最後まできちんと耳を傾けている」と職員にの姿勢をたたえた。入居者の好みに応じたシャンプーを使っている点なども「優れている」と評価。最後に「この施設ならお世話になりたいと思いました」という感想を伝えた。
Uビジョン研究所による抜き打ち調査は、2011年から取り組む施設認証制度の一環で実施している。本間さんは、身寄りがなかったり重い認知症だったりして虐待を受けても声をあげられない入居者の急増に危機感を強める。「コールすら押せない人も多い。家族の目も届かず、施設管理職も実態がわからない」 ただ、費用を払って厳しい第三者チェックを受け入れようという意識の高い施設はまだ多くはない。対象は現在、全国で6施設。ケアは全国トップレベルと本間さんが太鼓判を押す施設ばかりだ。
龍生園で虐待の心配はないようにみえたが、蓑田義清・総合施設長はリスクを軽視しない。「夜勤中に職員が担当外のユニットに立ち入ることはまずない。(同僚の目が届かず)それだけで虐待が起きる可能性は十分にある。客観的な目が必要です」
厚生労働省は、都道府県などが介護施設に定期的に行っているか実地指導を抜き打ちでも可能にすることにした。しかし、自治体からは「要因不足」を訴える声も聞こえており、実効性に不安は残る。
介護施設の職員らによる高齢者虐待は14年度に300件が確認され、前年度に比べて35.7%増えた。本間さんは近く、外部評価の義務化や夜勤職員の配置基準の改善などを厚労省に要望する予定だ。(編集委員・清川卓史)
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