新聞と9条 70年安保と革新自治体

朝日新聞3月30日夕刊10面:米軍基地内に住む自衛隊員の住人登録は、受け付けることができない。横浜市長の飛鳥田一雄(あすかたいちお)は1972年12月16日、米軍立川基地への自衛隊移駐をまじかに控えた首都圏革新市長会で見解を披露した。基地内の居住者には、税金の取り立ても、保険所の立ち入り検査も、市民としての保護もできない。それならば、住民登録だけ受け付けるのは違法ではないか。基地の”治外法権”を逆手にとった発想だった(17日付け朝日新聞)。
那覇市は本土復帰後、自衛隊への反発を強め、同月5日から、隊員の住民登録を拒否していた(連載172回)立川市も18日、横浜市にならう方針を示した。 朝日新聞の疋田桂一郎は、20日付けの「天声人語」で「制度と、その制度の下で働いている人とは区別して考えるべきでは」と批判した。移駐後の29日付け日経新聞の社説も「自衛隊に反対することと自衛隊員の住民としての基本的な権利義務を尊重することとは、全く別」と指摘した。 批判をよそに73年1月10日、飛鳥田が会長を務める全国革新市長会は、基地に自治体の行政権が及ぶ範囲を政府が示すまで、隊員の住民登録を保留すると決めた。
二階堂進官房長官は17日、「立ち入りの便宜は図るが、米軍基地に対する調査権はない」と回答した。朝日新聞は、なお事態は収拾しないだろうと予想。東京都知事の美濃部亮吉は31日、「自衛隊の存在そのものは違憲かどうが疑義があることからしても、住民登録拒否で抵抗することも当然」と、立川市を擁護した。
だが、作戦は短期で終結した。那覇市は2月3日、立川市は15日、登録を受け付ける方針に戻る。「ただ市民が戦車を止める」会の梅林宏道(78)は「『合法闘争』にこだわるあまり、基本的人権などへの視点が抜け落ちていた」と当時を語る。
梅林は、基地の監視などに取り組むNPO「ピースデポ」を97年に設立。ともに活動した山口幸夫(78)は今、原子力資料情報室の共同代表を務める。二人は、「戦車の輸送阻止活動が原点」と、口々に語った。梅林は「憲法9条を真に生かすには、軍事や核に関わる施設の実態を市民自らが監視し続けることが欠かせないと感じた」と語る。敬称略 (編集委員・永井靖二)「70年安保と革新自治体」は終わり。

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