患者を生きる 3千回記念【4】

朝日新聞3月4日31面:東京都の山口由興さんと埼玉県の伊藤邦江さんは、ともに「潰瘍性大腸炎」の患者だ。山口さんはマジシャン、伊藤さんは司会をこなし、一緒にステージに立つこともある。患者として、母親として、自分らしく生きる。(2009年4月7日~19日掲載)
1月中旬、千葉県四街道市で開かれた防災イベントにマジシャンの山口さんと伊藤さんの姿があった。「皆さん、おうちにトイレの備えはありますか?」 山口さんが会場に呼びかけた。自身を含むマジシャンら11人が所属する会社「魔法招会」の社長。7年前の連載時と大きく変わったのは、自治体などの防災イベントに関わるようになったことだ。 マジックや寸劇を交え、防災の知識を伝える。この日は冒頭、会社の上司とその部下「スギコとサクラ」に扮した2人が、冗談を交えながら、災害時のトイレを話題にした。部隊の脚本を書き、タレントとしても活動する伊藤さんは「楽しんでもらいながら印象づけたい」と話す。 きっかけは11年の東日本大震災。2人は「災害時に自分たちは何ができるのか」と考えた。人前に立つ身として「お客さんの避難誘導をするかもしれない」災害の基礎知識や救急知識など危機管理を学ぶ公益社団法人の認定資格を2人とも習得した。 潰瘍性大腸炎は腹痛や下痢を繰り返す難病だ。山口さんの症状は現在、薬で比較的安定しているが、寝不足や疲れで悪化して入院することもある。時には痛み止めを注射して舞台に上がる。「病気だからできない、と言い訳したくない」長女の円音さんも、マジシャンとして活躍する。 伊藤さんは01年に大腸の摘出手術を受け、定期健診に通う。双子の娘と息子は高校を今春卒業。シングルマザーの子育ても一段落し「やりたいことがたくさんある」この病気は重傷になると、トイレにこもきりになることがある。災害時にはトイレや薬の確保が、より切実な問題となる。2人は患者としての視点も生かし、「備えの大切さ」を訴えていくつもりだ。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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