患者を生きる 働く・前編【3】 

朝日新聞3月24日30面:肺がんになった千葉県船橋市の会社員、平岡輝彦さん(47)は2011年春、職を失った。勤務先の金融機関の経営が行き詰まって解雇され、再雇用の希望を出したが受け入れられなかった。「平岡さんは病気だったから再雇用されなかった。自分は反対したのだけれど、役員には受け入れてもらえなかった」 かつての上司からは後日、そういう説明を受けた。 仕事は失ったが、傷病手当金の支給が続いたこともあり、貯金は崩さずに済んだ。「ともかく今は、がんの治療に専念しよう」と自分に言い聞かせた。 6月中旬まで、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)に入院を繰り返しながら、抗がん剤による治療を受け続けた。 治療が長期化するなか、再就職に向けた準備を始めた。「再就職に少しでも有利になれば」と、2級ファイナンシャル・プラニング技能士の資格習得を目指した。入院中の時期も、ベットの上や病院の食堂で参考書を広げて勉強した。6月に試験の合格通知を受け取ることができた。 その一方で、行先の見えない不安に襲われ、心が押しつぶされそうになるときもあった。「がん患者になり、仕事も失ってしまった。僕よりも悲惨な人なんて、いないのじゃないか・・・」そんな気持ちを変えてくれたのは、がん患う仲間との出会いだった。
11月上旬、がん患者の就労支援に取り組む「一般社団法人CSRプロジェクト」が都内で開いた交流会「サイバーシップ・ラウンジ」に参加した。その後も毎月のように顔を出した。 ラウンジでは自己紹介をし、近況を話す。ここで、代表理事で乳がん経験者の桜井なおみさん(49)ら、がんを患った様々な境遇の人たちに出会った。
その中には、がんになったことを職場で公表できずに悩み続けている人、がんをきっかけに職場に居づらくなった人たちもいた。
「つらい思いをしている人は、たくさんいるんだな」。そう思えるようになり、気持ちが吹っ切れた。(山本智之)

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