患者を生きる 働く・前編【2】

朝日新聞3月23日33面:肺がんが見つかった千葉県船橋市の会社員、平岡輝彦さん(47)は2011年1月、化学療法を受け始めた。抗がん剤の副作用で足の裏にみずぶくれができて痛み、出社出来ない状態が続いた。 勤務先の金融機関は以前から経営が悪化していたが、ついに他社へ吸収合併される見通しになった。手続き上、社員はいったん解雇された上で、希望者は再雇用されるという。
入院先の国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)の病室を上司が訪れ、今後の希望について聞き取りをしていった。抗がん剤の副作用で頭髪は無くなり、足は水ぶくれだれけだったが、再雇用への強い希望を伝えた。 3月下旬「解雇予告通知書」が郵送で自宅に届いた。この時期に通知が来るのは想定内だった。自分もほかの同僚たちと一緒に、新しい職場に移って働けるー。そう信じていた。
「まさか入院中に仕事を奪うなどということは、ないだろう」そんな思いもあった。
ところが、現実は厳しかった。4月上旬、郵便受けに届いた封書に妻(47)が気づき、入院中の平岡さんに電話をしてきた。 「中身をあけて、読んでみて」電話口で、そう妻に伝えた。 再雇用の受け皿となる会社から届いた「選考結果のご通知」という文章だった。 「厳正なる選考の結果、残念ながら貴意に沿えない結果となりましたことをご通知いたします」。再雇用の対象には入らないという内容だった。 この時期、元気に働く同僚たちには、次々と再雇用の通知が届いていた。つい最近まで、サラ―リマンとしてごく普通の毎日を送ってきた。突然のがんの宣告と、つらい闘病生活。さらに追い打ちをかける、失職の知らせだった。
当時、住宅ローンが約2800万円残っていた。妻のパート収入はあるものの、2人の娘はいずれも小学生で、教育費もまだまだかかる。
「これから、どうする?」電話口から妻の声が聞こえた。 「なぜ、こんなことに・・・」悔しくて、涙があふれた。

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