患者を生きる 働く・前編【1】

朝日新聞3月22日33面:千葉県船橋市の会社員、平岡輝彦さん(47)は2010年11月上旬、自宅近くのクリニックで健康診断を受けた。 「すぐに来てください」 その日のうちに自宅に電話がかかってきたて、クリニックを再び訪れた。医師が胸のX線画像を指さして言った。「肺に影があります。大きな病院へ行ってください」 県内の総合病院でCTやMRI検査を受けたところ、「ほぼ間違いなく肺がん」と告知された。高校時代はサッカーで鍛え、健康には自信があった。たばこは結婚を機に29歳でやめていた。若い頃、盲腸で入院した以外、ほとんど病院に行った覚えもない。 「なんで突然、がんと言われなければならないのか…」どうしても納得できなかった。 自覚症状は全くなく「何かの間違いでは?」とも思った。 12月上旬、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)を受診し「腺がんというタイプです」と告げられた。がんは右肺の付け根にあり、肺の中には複数の移転もみられるという。がんの進行度を示すステージは「4」と診断された。
「手術をしたとしても、すべて取り除くことはできません。抗がん剤による治療をお勧めします」呼吸器内科病棟医長の山本昇さん(49)から、そう説明を受けた。 抗がん剤は、2種類の点滴と1種類の飲み薬の組み合わせ。翌1月上旬の入院が決まった。 長年、金融機関で働き、当時は千葉県内の店舗に勤めていた。「がんが見つかったので、来月から1ヵ月半ほど入院します」電話で上司に沿う報告した。「分かりました。早く戻ってきてくださいね」上司からは、温かい言葉が返ってきた。
抗がん剤治療を1ヵ月続けたところ、腫瘍の縮小が確認された。その一方で、抗がん剤の副作用で両足の裏に10個ほど水ぶくれができ、皮がむけた。痛くてほとんど歩けない。「体調が悪いので、もう少し休みます」2月下旬、上司にそう連絡した。 そのまま職を失うことになるとは、思ってもみなかった。

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