心のケア【5】

朝日新聞2月20日30面:がんを告知されと、激しいショックを受けたり、人生の見通しが根底から崩れてしまったと感じたりする人も珍しくない。普段通りの生活が送れなくなるほどの精神的な苦痛を経験すると、回復するまでに時間がかかる。がん患者の心のつらさを和らげる医療は「サイコオンコロジー」といい、精神腫瘍学と訳される。 名古屋市立大学精神・認知・行動医学分野教授の明智龍男さんによると、がんの告知を受けた直後に落ち込んだ状態から、適応するまでに、次第に心の変化が訪れる。 告知を受けた直後は、ショックや混乱の時期で「頭が真っ白になった」というように、何も考えられない状態に陥る。しかし、2週間ほど経過すると、病気を踏まえて今後の治療や仕事などについて考えられるようになることが多いという。 ただ2週間以上過ぎても落ち込んだ状態が一日中続き、食欲不振や不眠などが改善しない場合、「適応障害」や「うつ病」と診断される。がんを告知された人のうち3~4割ほどは、専門家によるケアが必要という。 国立がん研修センターなどの調査によると、がんと診断された人が1年以内に自殺する危険性は、通常に比べて20倍以上高い。 埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授の大西秀樹さんは、「うつ症状があると、治療を受ける意欲も失せてしまう」と指摘する。 がん診療連携拠点病院では、心のケアは精神科の医師や臨床心理士、心のケアの経験が豊富な看護師らが担当する。ケアの中心はカウンセリングと、薬物治療だ。 カウンセリングでは、不安の原因や問題点を整理していく。薬物治療では睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬などを服用する。 「痛み止めと同じように、うつ症状の苦しみを和らげるため、薬の力を借りると考えてください」国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科長の清水研さんは、そう話す。 心のケアを受けるには「気持ちが弱いから」だと誤解されがちだが、明智さんは「がん治療に取り組むためにの前無二な行動と捉えて欲しい」という。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る