心のケア【4】

朝日新聞2月19日33面:大腸がんが肺に転移していることがわかった埼玉県の女性(61)は2015年4がつ、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授の大西秀樹さん(55)から「集団精神治療」への参加を提案された。 患者たちが院内で月に1回集まって自分のことを話す場だ。大西さんから「人に自分のことを話すことで、何に不安を感じ、何を心配しているのか、気持ちを整理することができますよ」と聞いた。 5月中旬、初めて集団精神療法に参加した。集まった人はがんの種類は違うものの、転移や再発を告げられた人ばかりだった。入院中の人や、鼻から酸素を吸引している人もいた。 女性にはまだ、がんによる自覚症状があるわけではなかった。「私が、どうしてここにいるんだろう」場違いな気がした。 自分の番になって話し始めた。「娘に迷惑をかけたくないと思っていたが、今は通院に付き添ってもらい『ありがとう』と伝えられるようになった」「病気をして、ものの見方が変わった。食事ができる、車が運転できる。そんなちょっとした幸せを見つけられる」 女性の話に、参加者たちが大きくうなずいた。患者同士だからこそ、共有できる実感があった。 大西さんは当初より女性の表情が明るいことに気づいた。 「病気のことや、今後のことを落ち着いて考えられるようになっている」そうカルテに記した。一緒に話した人が亡くなったという知らせに驚くこともあった。だが、以前は「最期」について考えると、恐怖しかなかったが、集団精神療法の場では、参加者といっしょに考えることができた。女性は「死は遠くにあるものでなく、誰でも必ずやって来るもの」と捉えるようになった。 今年の正月。3人の娘たちを自宅に呼び、自分が亡くなった後の相続などについて話をした。「そんな話、まだ早いよ」と嫌がる娘たちに「予行練習だからさ」と笑って話すことができた。 女性の今の目標はこの春、自宅から見える桜を眺めることだ。「これまで見た桜より、ずっと美しく目に映るでしょうね」

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