妻の重いくみ自宅で最期

朝日新聞2月7日35面:昨年7月、東京都北区の男性(78)は、2010年にアルツハイマー病と診断された妻(85歳)を自宅で看取った。診断の翌年に見つかった心臓病が悪化した。妻は認知症が進み、治療の説明をしても具体的な意思を聞き出せる状態ではなかった。断片的な言葉を頼りに、長年連れ添った夫が妻の思いを推し量った。昨年2月、妻は慢性心不全の薬物治療のために入院した。ある朝、男性が面会に行くと、妻はナースステーションの横に置かれた車いすに座らされて、体をベルトで止められていた。夜中に病室で「パパ、パパ」「帰りたい、帰りたい」と声を出し、別室で寝ていたと聞かされた。結婚して約50年、二人で山歩きや美術鑑賞を楽しんできた。「二人でいることが当たり前。一緒に帰ろう」と男性は心に決めた。病状が落ち着いて3月末に退院。訪問治療に力を入れている区内の診療所から週2回、医師が自宅へ診療に来てくれることになった。訪問看護も週4回、訪問介護も週2回受けた。男性と長女は「何があっても、できれば自宅でみとりたい」と伝えた。医師からは「本人らしい生活の仕方を考えてあげてください」と言われた。7月妻は職が細くなり、少し体を動かすだけで呼吸が苦しそうになった。高齢者の緩和ケアに詳しい診療診療所の医師が来て、入院して強心剤を使った積極的治療を受けれるが大きな効果は期待できず、自宅で心臓の負担を減らす心不全の治療を続け、苦痛を和らげる薬も使えると説明された。男性は「このまま家で」と答えた。約3週間後の夜、妻は息を引き取った。男性はずっと手を握り締めていた。妻の表情は穏やかだった。

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