外見のケア【1】

朝日新聞2月2日24面:埼玉県に住む看護師の女性は2015年5月ごろ、右ひじの内側がはれて、少しふくれていることに気がついていた。 当時、県内の着物学院に通い、組みひもづくりを習っていた。お気に入りのピアノデュオ「レ・フレール」のパリ公演で着物を着たくて、着付けを習いに行ったのがきっかけだ。「変な力が入って、腕が太くなったんですかね」右腕の変化について、組みひもの先生に話すと、「そんなわけないでしょう。もし、そんなことがあったら、生徒がいなくなっちゃうわよ」と笑われた。それでも気になったので、勤め先の病院で医師に相談し、6月にMRIを撮った。画像を見た医師の所見には、サルコーマ(肉腫)などの疑いと書かれていた。MRIには、子持ちシシャモのような形が映っていた。会社員の夫は、診断結果を見て「オー、ジーザス」と言った。「なんで英語なの?どういう意味」と問うと、「おお、神よという意味だ。ぼくの生みの母もがんだったんだ。どうして我が家にくる女性は皆がんになってしまうんだろう」と答えた。ただ気になったのは部位だった。「胃がんなどとと違って、腕では周囲に隠しようがない」7月に県内の総合病院を受診して、検査のため右腕の腫瘍の組織を一部取った。希少がんの一種で、右前腕部の「軟部腫瘍」と診断された。希少がんの症例が多い国立がん研修センター中央病院(東京都中央区)で治療を受けることに決めた。検査前は痛みもかゆみもまったくなかったが、組織を取ると、激しい痛みとしびれが襲ってきた。「検査だけで、こんなに痛みがひどいなんて。腫瘍を全部取ったら右腕は助からないかも」そう覚悟した。*5回連載します。

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