マーティン・ウルフ特集【3】

日経新聞1月12日特集面:5つの選択肢 どうすべきなのだろうか。1つの選択肢は、現状の大幅な赤字財政と日銀の国債買い入れを継続し(経済が活性化して)民間部門の余剰資金が消えるのを期待することだが。そうなる可能性は乏しい。たとえそうなっても、財政赤字を安全になくすことができない。この政策は、中央銀行が政府の発行する国債を引き受けて財政赤字を穴埋めするマネタイゼーションに行き着く結果になる。
2つ目の選択肢は政策が実際にマネタイゼーションであると認めることだ。公的部門の債務に覆われた日本では債務負担の軽減を見据えて、より高いインフレ目標を再設定することもできる。
3つ目の選択肢は厳格な緊縮財政だ。民間部門が国家財政の健全化を認識して過剰な貯蓄を減らすことになる、という論理だ。しかし、日本では極めて現実味が薄いようにみえる。むしろ深い景気後退に行き着く可能性のほうがはるかに高い。
4つ目の選択肢は経営収支の黒字拡大を通じて過剰な貯蓄を輸出することだ。これは、まさしくドイツがしたことだ。安倍氏の首相就任以降、実質実効為替レートは約30%の円安に振れている。この策では日銀が外国債券の買い入れで貢献できる。あるいは、政府が日本国債を売却して得た資金で政府系ファンドを設立する手もある。しかし、十分な規模で行われた場合、このような政策は、世界経済の不均衡の悪化も引き起こしてしまう。
5つ目の選択肢は民間部門の慢性的な貯蓄過剰に真正面から切り込むことだ。日本企業の過剰な内部保留を賃金と税に移していくことが、最終的に構造的な貯蓄過剰の解消につながる。たとえば、減価償却引当金を大幅に減らす方法がある。コーポレートガバナンス(企業統治)改革も企業収益の分配の拡大につながる。さらにもうひとつの可能性として賃上げがある。
要するに、供給ではなく需要が重要なのだ。民間、特に企業部門の構造的な貯蓄過剰が政府を赤字財政に向かわせて債務が膨らんでいる。アベノミクスは、この根底にある現実を認識していない。
最初のステップは核心にある問題、すなわち民間需要の不足という問題を認識することだ。そうして初めて、解決が可能になる。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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