ある日突然 家の中で骨折【2】

朝日新聞4月19日29面:今年1月2日、自宅階段から落ちた埼玉県の元看護師の女性(75)は、近くの伊奈病院(埼玉県伊奈町)に入院した。X線検査で左足の「大腿骨顆上骨折」と診断された。太ももの下の方、ひざの上あたりの骨が折れていた。
「大腿骨がばらけている…」X線写真を見せられがくぜんとし、声も出なかった。
主治医は人工関節手術や骨粗鬆症を専門とする石橋英明医師(54)に決まり、折れた骨を固定する手術を8日に受けることになった。 ベットに固定されて動けない女性の代わりに、家族や同年代の元看護師の友人が説明を聞いてくれた。
手術では、大腿骨の中にチタン製の棒をひざ関節の中から通し、割れた骨をねじとワイヤで留める。全身麻酔のほかに大腿神経ブロックという麻酔を使った。手術は2時間ほどで終わったが、その後も管からももの神経の近くに麻酔薬や鎮痛剤を入れる。翌日夕方に管を抜くまで続いた。おかげで目が覚めても痛みはほとんどなかった。
骨折患者は手術後の痛みを訴えることが多い。しかし、女性の場合、その後も皮膚が引きつったような感じがしただけだった。「痛みはまったくと言っていいほどない。すごい技だった」。術後の説明を代わりに聞いてくれた元看護師の友達も同じ意見だった。 手術から3日後、早くもベットの上で機械を使ってひざを曲げる運動が始まった。その翌日からはリハビリ室で体の衰えを防ぐ運動も始まった。
この日、次男(42)夫婦と一緒に孫娘(4)が見舞いに来た。いつもは活発で明るいのに、話しかけてもしゃべらない。緊張している様子だった。 「元日に一緒に新年会を楽しんだばかりなのにベットに固定されている姿を見て、驚いて声も出ないんだろうな」 孫娘は終始無言だったが、自筆の手紙をくれた。
「おばあちゃんへ あしがなおりますように まいにちおうえんしています だいすきです」 病院を出たとたんにワッと泣き出したと後から聞いた。 (鍛冶新太郎)

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