9月8日 最低賃金引上げ中小企業は・・

東京新聞2017年9月3日24面:ちぐはぐな支援策 悲鳴 2017年度の最低賃金の引き上げ幅が、全国平均の時給で25円と決まった。現行方式で過去最大だった昨年度と同額で、アベノミクスの下支えを狙う政権が主導した。引き上げ自体は非正規労働者らの生活改善に不可欠だが、中小企業からは人件費の不安から「やっていけない」と悲鳴が上がる。政府の支援策は十分なのか。
「きついですね。うちみたいに小さいところは」静岡県沼津市の海産物卸会社の鈴木勝巳社長(64)は声を落とす。最近、シラスに混じった異物を取り除くパートを募集したが、人手不足のため自給820円では集まらず、850円で採用した。全国の最低賃金の平均25円引き上げは7月、厚生労働相の査問機関である中央最低賃金審議会が答申した。安倍政権が3月に公表した「働き方改革実行計画」が「年3%程度ずつ引き上げ、自給千円を目指す」とした方針に沿い、823円から848円に上げた。静岡の最賃も807円から832円に上がるため、賃金相場はさらに上げる見通し。鈴木さんは「売り上げは伸びていない。働いている人のために上げてあげたいが」と話す。
「もう廃業しか」「上げてあげたいが」 大阪商工団体連合会の槐島あかねさんも「価格競争による売り上げ減や、家賃、消費税負担にあえぐ個人商店の苦境を聞いている。『もう廃業するしかない』という声も出ている」と明かす。全国商工団体連合会の中山真常任理事は「最賃引き上げは社会的要請だが、賃金が上がれば、社会保険料や労働保険料の事業主負担も増えてしまう」と指摘する。
そうした中で指摘されるのが、賃金を上げた中小企業の設備投資などを後押しする国の業務改善助成金の使い勝手の悪さだ。予算は初年度の2011年度の39億円から15年度は21億円まで減り、さらに昨年度は3億円に急減した。交付額は公表されていないが、日弁連が昨年度調査した青森、鳥取県の利用は低迷しており、同年度の交付はそれぞれ2件、11件にとどまっている。
厚生労働省の担当者は、パソコンや営業車の購入が15年度に助成対象から外されたためと説明。「生産性が上がるものではなくてはならず、通常会社が備えるものは認めなくなった。コンピューター利用設計システム(CAD)や福祉車両は認めている」とする。
これに対し、青森、鳥取県の調査に参加した猪股正弁護士によると、経営者団体は、助成対象の拡大や、賃金を30円以上引き上げた場合に助成するとしている基準額の引き下げを求めている。「最低賃金に関係する業者はサービス業や卸売業が多いのに、原則として設備投資しなければ使えない。最賃の効果やバックアップすべき職種を調査していないからでは」
中小企業支援の拡充は、最低賃金引き上げなどを訴える若者グループ「AEQUITAS(エキタス)」も求めている。日本企業の大半を占める中小企業の労働者の給与が上がらない結果、中小企業の商品が売れず、給料が上がらない「無限ループ」を絶つためだ。メンバーの都留文科大4年栗原耕平さん(22)は「安倍政権の成長戦略は最賃引き上げも生産性向上につながるとしているが、地方の中小企業や労働者を守る考えがない。社会保険料の減免などで地域経済の好循環を」と訴える。
槐島さんは、大企業にはない中小企業の役割を強調する。「人を使い倒し収奪するだけのブラック企業とは真逆で、労働時間や休日、現物支給によって、働く人の条件に柔軟に応じる温かい中小企業も多い。行政は家賃補助、融資拡大なども含めて後押ししてほしい」(橋本誠)

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