9月5日 沖縄の屈辱知ってますか

東京新聞2017年9月2日26面:防衛職員「日本語分かりますか」発言 異議を嘲笑する空気まん延
沖縄県名護市辺野古で米軍基地建設に抗議する人たちに、防衛省沖縄防衛局職員から発せられた「日本語わかりますか」発言が波紋を広げている。防衛局側は「侮辱」の意図はないと説明するが、本気だとしたらその会話力の方が問題だろう。無自覚な「差別」の根は深い。
「沖縄県には方言差別に苦しんできた歴史がある。多くの方が侮辱や差別と受けとめている」先月30日の参院外交防衛委員会で、小野寺五典防衛相に「日本語」発言をただした沖縄県選出の伊波洋一氏(無所属)が、質問した理由を説明する。発言は28日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込んでいた住民らに行われた。防衛局は「侮辱的なニュアンスを含んだものではない」と説明。小野寺氏も「『車両が通行して危険だ』と幾度も警告しても、全く応じてもらえない中での発言だった」と擁護した。
伊波氏は「高齢者には戦後に本土で『日本語しゃべれますか』と言われたことがある人もいる。沖縄に基地を押しつけようとしている防衛省の職員が言ったことで、侮辱的と感じた人もいるだろう」とする。沖縄では明治維新後の皇民化教育の中で、学校で方言を使うことが禁止され、標準語を用いる指導が徹底された。沖縄方言を使った子どもには罰として首から「方言札」が掛けられた。琉球大名誉教授の高嶋伸欣(のぶよし)氏(社会科教育)は「授業中も休み時間も、つい方言を使った子どもに『方言札』が回された。掛けられた子は恥ずかしいので、別の子に方言を使うよう仕向けた。沖縄の文化が劣っているという本土社会の感覚を、子どもにまで植え付けられた」と屈辱的な歴史を解説する。
沖縄戦では、方言を話す住民が旧日本軍にスパイ視された。「指揮官から、方言を使う者はスパイとみなすという通達が出ていた。標準語を話せないお年寄りが方言をしゃべり虐殺されたこともあった」昨年10月には、米軍北部訓練場(東村など)のヘリコプター離着陸帯工事で、大阪府警機動隊員が抗議する住民に「土人」と暴言を吐いたばかり。高嶋氏は「相変わらず差別意識を持っている。しかも若い世代だ。琉球語を文化として確立させようという動きがある中で、全く逆行し、歴史を学ぶ意識もない」と嘆息する。
「日本語分かりますか」といった表現はネット空間でもひろがっていると、精神科医の香山リカ氏は指摘する。「ここ数年、文脈を解さない人に『日本語から勉強したほうがいいんじゃない」と言う人を見かける。国語が分かっていないという嘲りの態度で、意思が疎通できない相手に対して話を打ち切る」
今回、そうしたコミュニケーションを放棄する言葉が、政府の側から発せられたことに危機感を抱く。「自分たちがすべき説明、説得を放棄し、力で物を言わせている」。現政権が重要な問題を閣議決定や強行採決で決め、有権者に十分に説明しないことを指摘。7月の東京都議選の応援演説で安倍晋三首相が「安倍辞めろ」と叫ぶ聴衆に「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言したことにも同じ空気を感じるという。
「自分に異議を唱える人は別世界の、話しの通じない人と考えているのだろう。本来は力を持っている側が丁寧に言葉を尽くすべきなのに、真剣に抗議する人たちを嘲笑する。今回の問題と地続きだ」(橋本誠)

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