9月3日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2017年9月1日25面:意外な言葉をスパイスに 「カジキマグロを脱水し、生ハム風に仕上げました」という料理の皿をわたしたちはいっせいにのぞきこんだ。わたしたちというのは女子3人で、予約して出かけたレストランの昼時である。
店の人が厨房に消えると、「今、脱水って言った?」「言った、言った」白いお皿には、ややカサついたようなカジキマグロが、静かに横たわっていた。料理の説明を聞くのは楽しい。意外な言葉が採用されていると、なお楽しい。とんでもなく手間がかかっている気がするし、お得な気分だ。
そういえば、先日、別の店で最後に登場したデザートにも、思いもよらぬ言葉が入っていた。「チョコレートのタルトを再構築したものです」再構築、されたらしいチョコレートタルトは、ムースにビスケットが刺さっているという、斬新な建物、いやデザートとなっていた。
さて、脱水されたカジキマグロを食べつつ、我々がもっと盛り上がった話題といえば、靴問題である。思い切って靴をオーダーメードした、という話をはわしが切り出したところ、みな興味津々。足に合う靴がなかなか見つからない。意見が一致。靴売り場でさんざん試してみたのに、外を歩くと痛くなる。「玄関出て、1分で引き返してくることあります」「あるある!」
以前、洋服屋の店員さんがオシャレなヒールを履いていたので、「ステキ、でもそういうの痛くならない?」と聞いてみたら、彼女は「まさか!」という顔になった。痛いから外は歩けず、履き替えて帰るとのことだった。
新しい靴を買った夜は、いつもうきうきする。これを履いてステキなレストランに行ってみたいなぁとうっとり。反面、足に馴染むまで相当な時間がかかり、慣れたころにはちょっとすすけているんだよなぁとも思う。
はたして、木型からオーダーメードした靴はいかに。完成までに半年かかり、この秋に仕上がる予定である。「結果、知りたい!」ふたりのオトナ女子たちの鼻息は荒かった。(イラストレーター)

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