9月28日 人生の贈りもの 作家 浅田次郎【5】

朝日新聞2017年9月22日31面:川端・谷崎・三島にどっぷり浸る 《中央大学杉並高校に進学。その頃、出版社に小説の持ち込みもしていた》 河出書房新社に面倒見のいい編集者がいた。高校2年生のときに、90枚ぐらいの小説を書いて持ち込んだときの担当者。あの人いなかったら、俺諦めてるね、途中で。唯一の窓口だもん。プロの編集者が褒めてくれたっていうさ。
内容は川端さん丸写しだなあ、いま考えてみると。川端康成は大好きだった。現役なんだから、まだその頃は。影響を受けるよ。川端さんの、あの世界にだまされて連れていかれる感じ。今でも読み返すけど、オリジナリティーにあふれていて、誰とも違う。だから影響受けちゃうと怖いよね。抜け出すまでが。
一方で、谷崎潤一郎は昔から尊敬していて。もう話が決定的に面白い。誰の影響を一番受けたかって言われたら、やっぱり谷崎さんだと思う。
《三島由紀夫も同時代の作家として読み、その後の人生に大きな影響を及ぼした》 好きというより、抵抗っていうのがちょっとあったかもしれないなあ。いかにも知的で明晰っていうところに。川端さんのぼんやりした感じの方がロマンチックだなって。
河出書房新社の編集者に会ったとき、のっけから三島の話を聞かされてどきどきしたのを覚えてる。彼は三島の担当者でもあったから。『英霊の聲』が出た後で、亡くなる3年ぐらい前。それで「会わせて下さい」と。そしたら面白そうな奴だから、今度連れていこう、飯でももって。そんなこと言っているうちに、ご飯を食べる前に死んじゃった。当時読んでいたのは、その三巨頭です。よく例えるんだけど、谷崎ってお父さんって感じ。三島のイメージは兄貴なわけ。だから反抗もしたくなる。川端っていうのは時々来るおじさん。不思議な雰囲気があって、時々やってきては何か悪いことを教えて帰る。
当時書いていた小説の内容ですか? ばりばりの恋愛小説ですね。あるぞ、どっかに。もう焼いておかなくちゃ、後で未発表原稿とかで出たら嫌だから。(聞き手 高津祐典)

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