9月22日 サザエさんをさがして

朝日新聞2018年9月15日be3面:敬老ボランティア ああ遅かりし由良之助 本作が載ったのは1968年9月15日の「老人の日」。この日が国民の祝日となって「敬老の日」が始まったのは、翌66年だという。当時の朝日新聞には、芝居好きが集まった素人劇団や大学の落語研究会などが養老院を慰問した、といった記事が登場する。「サザエさんたちの活動は、日本のボランティアの源流の一つ。時代状況を映していて面白い」。神奈川県立保健福祉大学の前学長で、東京ボランティア・市民活動センター所長の山崎美貴子さん(83)は掲載作を見てこう話す。「60年代は家族の形が変わるちょっと手前で、都市化や核家族化の予兆が見え始めたけど、古い気分も残っている時期」という。当時の高齢化(65歳以上の高齢者の割合)は約6%で、高齢化社会の入り口だった。お年寄りの貧困や自殺率の高さなどが社会問題になり、61年に年金や医療保険に全員が加入する「国民皆年金・皆保険」が確立し、63年に老人福祉法が施行された。自治体に「家庭奉仕員」という介護ヘルパーの原型も生まれ始めた頃だ。
山崎さんは、舞台が「養老院」だという点にも着目した。養老院は戦前の救護法の流れで、宗教家や篤志家が慈善事業として、身寄りのない貧しい高齢者を保護する施設。老人福祉法の施行と同時に、生活保護法上の養老院施設から社会福祉施設としての「老人ホーム」となっていった。でも、法律で呼び方が変わっても、人々の認識が変わるには時間がかかったのではないか。作者の長谷川町子さんが養老院を描いたもの、こういう背景があったのかもしれない。ボランティアの歴史をひもとくと、当時は身寄りがなく入居しているお年寄りを慰めるという「慈善」の考え方が強かったという。それから半世紀がたち、高齢化率が27%を超える中、今ではお年寄りが主体性を持って参加できる活動が増えた。山崎さんは「双方のニーズをくみとって、新たな活動を生み出すコーディネーターの役割が重要になっている」と話す。中学生が登校前の1時間だけ手伝いをしたり、リウマチの人が本を読むのにページをめくる人を探したり。活動も多様化している。
ならば記者も体験してみようと、8月中旬、東京都内の老人ホームで「盆踊り」のボランティアに同行させてもらった。集会場の真ん中に踊り手が輪になり、周りのいすに20人ほどのお年寄りが腰かけている。東京音頭や炭坑節などのおなじみの曲が流れると、立ち上がって踊りの輪に加わる人もいれば、座ったまま手だけを動かす人、踊りを目でじっと追う人も。「北崎会」代表の北崎久美子さん(66)が「ほってー、ほってー、またほって」などと、動きを分かりやすく説明する。職員さんたちも加わって1時間余り。参加者の表情が明るくなり、血色が良くなったように見えた。会のメンバーは60~80代の女性5,6人。夏休みは踊りが好きな高校生も加わる。交通費も自己負担の手弁当の活動だという。北崎さんは「お年寄りに喜んでもらえて、パワーをもらっている。。私たちもいつか、誰かのお世話になるんですから」。今年の敬老の日は17日。サザエさんが現在でボランティアをするとしたら、何に挑戦するだろうか。さすがに忠臣蔵を通しで演じるのは、ちょっと・・。(見市紀世子)

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