9月15日 新聞を読んで 小林美希

東京新聞2018年9月9日5面:活字メディアの役割は 本紙は原発や平和問題などについて覚悟をもって報じている。こうした姿勢は、ほかの分野にも通じる。8月16日夕刊1面では、貧困に陥るLGBTなど性的少数者の支援ハウス設立に向けた話題を紹介。家族や職場の理解を得られず、家を出る、退職に追い込まれる例が目立つという。ドイツで出生届に男女以外の「第3の性」が加わる法改正案のニュースも同時に報じ、9月3日も2面で「LGBT法案いつ出すの」と畳みかける。4日18面では、多様な生き方に触れる場として新宿に足湯カフェの開店が予定されていると、身近に感じさせる情報も盛り込む。また1日6面では、これまでかなわなかった地方自治体の非常勤職員の公務災害認定について、総務省が申請を認めるよう全国の自治体に通知していたと続報を打った。自治体により条例が申請を妨げているとして、非正規への差別解消の流れをつくろうとするメッセージが伝わっる。
日曜版「大図解シリーズ」」(8月19日)では、「非公式経済(インフォーマルエコノミー)」で、労働法や社会保障の適用が不十分な請負労働や個人事業主らが全世界で約6割に及び、日本でも2割に達すると問題視する。国際労働機関(ILO)が、臨時労働者、アルバイト、パートのような非正規雇用もインフォーマル化して貧困に陥るリスクがあると警鐘を鳴らす。一方、経済産業省は、社会保障制度の対象外となるフリーランスという働き方を推進、あるべき方向と逆行する。法で守られる正社員でさえ、出産や子育てもまるで自己責任。だから、女性の半数以上が非正規雇用という異常な状況になっているのに、さらに悪化する懸念が生じる。東京医大の女性受験生への減点問題と関連し、1999年に過労自殺した男性医師の遺族が「女性排除が男の命も削る」と警告(22日25面)。
同僚の女性医師が育児休業から復帰すると、病院側から月4回以上の当直を求められ退職に至った。医師が減り、男性医師の当直は月8回に及んだ。こうした問題は医療現場に限らず、現在進行形だ。ライフラインを抑えると女性の就業が不利になる状況に対し、「視点」(17日4面)が射ている。子育て中の本紙男性記者は「男性が働き方を変えるには不安もあると思うが、それは両立に挑んだ女性が既に歩んできた道だ。男性の覚悟が問われている」と実感を込める。
掲載される記事は紙幅により限られるが、日々のニュースはつながっている。繰り返し書くことで、世論が沸く。切実な現場の声を政治も社会も無視はできなくなる。そこに活字メディアの役割があると信じている。(ジャーナリスト) *この批評は最終版を基にしています。

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