9月15日 エコホテル若者誘う

日本経済新聞2018年9月8日夕刊1面:廃材活用・自前電力・食品ロス減「宿泊だけで社会貢献」 環境に配慮した宿泊施設を選ぶ若者や訪日外国人が増えている。古材を再利用した家具などリサイクル品をそろえたり、使用する電力を地域で作って賄ったりするホテルが登場。これまでもタオルやシーツの交換頻度を減らすといった取り組みはあったが、より踏み込んだ取り組みをすることで意識の高い若者から支持を集めている。
訪日客が支持 「同じ価格なら環境に配慮したホテルを選ぶ」。観光で日本を訪れたドイツ人のクリストフ・ロガーさん(29)は、欧州で主流になってきた環境に優しいホテルを日本でも見つけられてうれしそうだ。8月に開業した「キッカ」(東京・千代田)は、持続可能な仕組みをテーマにした。都心に立地する同ホテルだが、施設内に木を多用することで自然のぬくもりを感じられるよう工夫した。ベッドには日本家屋から出た古材を再利用。提供する食事も食材のロスを防ぐため、複数のメニューに使えるよう仕入れを工夫。ニンジンなどの野菜は皮をむかずに調理して無駄を減らしている。
キッカは週末がほぼ満室に近い状態で、宿泊客の半分以上は20~30代と若い。利用した男性会社員(33)は「泊まるという行動だけで社会貢献できるのがいい」と話す。宿泊した山県県在住の大学生、山田健児朗さん(18)は「大学で環境について学び、普段から買い物時にできるだけ袋をもらわないように意識している。エコなホテルは好感が持てる」と話す。「自分のできる範囲で社会に貢献できることが若者の満足感を高めているではないか」。ホテルを運営するセブンガーデン(東京・港)の須賀裕子事業部長は人気の理由をこう説明する。
ホテルで出た使用済み歯ブラシなどを発電に利用する動きもでてきた。東急ホテルズ(東京・渋谷)が6月に開業した「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」(川崎市)では、歯ブラシなど廃プラスチックを近隣の昭和電工の工場に提供。それらを原料にして同社が製造した水素をもとに電気を作る。ホテル全体の消費電力のうち3割を水素から創出したエネルギーで賄っている。
自転車を再利用 水素を原料に発電するため、火力発電所で作る電気に比べ二酸化炭素(CO2)の排出を抑えられるという。東急ホテルズの武井隆執行役員は「おしゃれな雰囲気とエコな取り組みをアピールしたい」と話す。婚礼大手のテイクアンドギヴ・ニーズが運営する「TRUNK(HOTEL)(トランクホテル)」(東京・渋谷)でも、放置自転車の部品を再利用して作った自転車を宿泊客に貸し出したり、バーで使うパスタ製のストローを用意したりと環境への負担を減らす工夫をしている。
さらにスリッパにビーチサンダルを提供し、持ち帰りができるようにしたほか、サンダル自体も製造工程で出た端材を利用して作った。こうしたこだわりが受け、環境への意識が高い欧米から訪れる外国人からの支持を集めている。調査会社のインテージリサーチ(東京都東久留米市)の錫木圭一郎氏は「エコバッグを使ったりするなど家庭でできる環境対策にとどまらず、外出先でも環境に優しいサービスを選ぶ消費者が増えてきた」と説明する。環境を意識した新たな商品やサービスださらに広がりを見せそうだ。
宿泊前に環境配慮調べる 18~24歳4割 全体を上回る 米ヒルトンが5月、世界の同ホテルに宿泊した客7万2千人を対象に実施した調査によると、若い世代ほど環境に配慮したホテルを選ぶ傾向が強いことがわかった。宿泊先を選ぶ際、ホテルの環境や社会活動について予約前に調べるかどうかを聞いた項目では、全体では33%が「積極的に情報を探す」と答えたのに対し、18~24歳だと回答率が44%に増えた。
日本のサービス業の環境への取り組みは、欧米に比べ遅れている。環境負荷が少ないと認められる商品やサービスに付与される「エコマーク」の「ホテル・旅館」分野で認定されたのは帝国ホテル東京などわずか7施設。宿泊施設にもエコマークの認証があることが知られていないという。東京五輪・パラリンピック開催を控え、環境配慮をアピールできるか。日本のサービス業の実力が試される。(柴田奈々)

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