9月14日てんでんこ 西日本豪雨「18」晴れの国で

朝日新聞2018年9月8日3面:何をすべきだったのか悔しい思い出いっぱい。間違いを繰り返してはいけない。 「晴れの国」。岡山県はそう呼ばれる。2010年までの30年間の平均で、降水量が1㍉未満の日が276.8日。全国平均を30日近く上回り、日本一だからだ。地元の百貨店、天満屋の社長から12年に知事に転身した伊原木隆太(52)は、この言葉を県のイメージアップに使ってきた。「晴れの国ぐらし」と題した、移住を呼びかけるガイドブックは「自然災害が少なく安全で暮らしやすい」とうたう。11年3月の東日本大震災後には、被災地や首都圏から西日本で最多の1千人近くが移住した。
その岡山をこの7月に豪雨が襲った。犠牲者は倉敷市真備町地区を中心に県内で61人。終戦直後の台風被害を除けば戦後最悪の被害だ。「災害の少ないところだという県民の漠然とした信頼感が、避難行動の遅れにつながった可能性はある」。豪雨から2週間余り後、記者会見した伊原木は振り返った。元来、岡山は災害が少なかったわけではない。近世以降の干拓で広がった平野は、中国山地から瀬戸内海へ流れる3本の1級河川によって洪水に繰り返し襲われ、高潮にもしばしば見舞われてきた。国や県は河川整備を進めてきたが、県内の河川は大小合わせて522本。計画の策定から実施まで時間がかかる。
今回氾濫した小田川の水位を下げるため、高梁川との合流地点を下流に付け替える構想が持ち上がったのは1989年。着工は早くて今年10月だ。同様にあふれた3本の支流は、工事の対象になっていなかった。豪雨後、国は小田川の付け替え工事の完成を早めた。県は3本の支流に水位計を設置。初動対応を検証する有識者の委員会を立ち上げ、住民に避難したかどうかや、その判断の理由を尋ねる意識調査もする。
8月20日の初会合で伊原木は嘆いた。「何をすべきだったのか、悔しい思いでいっぱい。同じ間違いを繰り返してはいけない」「転んでもただでは起きない」がモットーという伊原木。多くの犠牲から教訓を得て「晴れの国」の看板をかけ続けることができるのかー。覚悟が問われている。(村上友里)

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