9月12日 平成とは 20世紀のうちに「2」

朝日新聞2018年9月6日夕刊12面:金大統領と思い共有 「今世紀の課題は今世紀中に」と語った首相の小渕恵三は、1998年7月の就任から4カ月で韓国、ロシア、中国の首脳と会談した。長期政権ほど首脳外交では有利という常識を崩す勢いだった。20世紀には日本による朝鮮半島での植民地支配や中国侵略、ロシアの前身のソ連による北方領土占領が起き、歴史認識や領土問題が和解へのトゲとして残り続けた。
そこにどう挑んだのか。この会談ラッシュは私が総理番になる前だが、後であっても新米記者の総理番が取材するのは日本での会談の冒頭撮影ぐらいだ。その後20年ほど日本外交を見続ける記者として気がかりだった舞台裏を、当時を知る人々に尋ねた。まず韓国だ。98年10月に来日した大統領・金大中との共同宣言は今も日韓外交の最高潮と言える。小渕が首脳間文書で初めて、植民地支配について「痛切な反省と心からのおわび」を表明。詰めの交渉を担う内閣外政審議室長だった登誠一郎(76)が振り返る。
9月下旬にソウルのホテルで外交安保首席秘書官の林東源と、日本側の素案を元に進めた。小渕が主語の部分は95年の戦後50年村山首相談話を基本に決着。だが、金が「歴史問題に終止符を打つ」と表明することを林は拒んだ。半日の交渉の末に登は譲る。小渕が「日韓関係を動かそうとする大統領の立場を理解しないと」よよく語り、登に「意を尽くしてまとめてほしい」と託したからだ。
金は小渕の首相就任後、ひそかに「20世紀に起きたことは20世紀で終わらせよう。一度文章で謝ってもらえれば政府として二度と過去は持ち出さない」とメッセージを送っていた。小渕と金は「今世紀中に」の思いを共有していた。金は首脳会談後の国会演説で、「この宣言が両政府間の歴史認識問題を一段落させ、未来を開拓する礎となる」と述べた。共同宣言では避けた「歴史問題への終止符」に近い言葉に、小渕は拍手を送った。(藤田直央)

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