9月10日 固定電話へ転送 悪用

東京新聞2018年9月3日夕刊1面:犯人携帯発信でも「03」表示 被害者「官庁や企業から」誤解 ニセ電話詐欺で、固定電話の転送サービスが悪用されている。詐欺グループが携帯電話からかけても「03」などの私外局番が表示される仕組みで、官公庁や企業からの電話だと信じ込みやすい。詐欺グループが転送サービス業者と契約する際、偽造免許証を使う手口が横行しており、警察当局は「業者の本人確認が甘く、詐欺の温床になっている」と警戒を強めている。(福岡範行、奥村圭吾)
「医療費の還付が受けられます。口座に振り込みます」。東京都中央区の60代女性は昨年11月、区職員を名乗る男性から電話を受けた。「03」から始まる番号表示を見て信じてかけ、男の指示で現金自動支払機(ATM)に行きそうになった。しかし、念のため警視庁に相談、転送サービスを悪用した詐欺だと分かった。固定電話の転送サービスは本来、企業などが利用することが多い。外出している営業担当者らが携帯電話でかけても、自社の固定電話の番号からの発信となるため、取引先などに分かりやすい。私用の携帯電話などを使ってかけても、番号を相手に知られずに通話することもできる。
契約に偽造免許証 甘い本人確認 警視庁によると、ニセ電話詐欺に使われた番号は、3年前は携帯電話と固定電話が半々だったが、今年1~6月は8割が固定電話。都道府県警の被害分析などから、警視庁の幹部は「大半は転送サービスが悪用されている」と話す。従来、詐欺グループは他人や架空の名義で契約した携帯電話を使ってきた。2008年の法改正で契約者の本人確認が不十分な業者への罰則が設けられた後、罰則対象外の固定電話の転送サービスに着目したとみられる。
詐欺被害の回復に取り組む井上光昭弁護士(34)によると、この転送サービスの契約時に、本人確認がずさんなケースが相次いでいる。詐欺に使われたとみられる電話番号の契約時に示された本人確認用の運転免許証のコピーを百枚以上チェックしたところ、ほぼ全て偽造だった。「公安委員会」の記載がなかったり、住所が存在しなかったり。生年月日もでたらめで、免許取得時に4歳だった例も。偽造以外に、実在する他人の免許証が勝手に使われたこともあった。「固定電話及び転送電話の適正化を求める有志弁護士の会」事務局長の木村圭二郎弁護士(57)は「実際の転送サービスの利用者にたどりつけなければ摘発できない」と指摘。本人確認を厳格化する制度の導入などを訴えている。

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