8月8日てんでんこ 九州と豪雨「14」転換期

朝日新聞2018年8月3日3面:地球温暖化が進む。「九州は激しい豪雨に真っ先にさらされる」 2017年7月5日の九州北部豪雨のデータをみて、山口大教授の山本晴彦(60)は首をかしげた。福岡県朝倉市のこの日の雨量は516㍉。気象庁のアメダス以前の古い降雨記録をまとめた独自のデータベースをもとに、どれだけまれな雨といえるかを確率ではじき出すと、4万4千年に1度しか降らない雨と出た。
12年7月の九州北部豪雨では、大分県日田市で100~300年に1度の雨が12日間に2回降った。九州や中国地方の豪雨災害を長年追いかけてきた山本からみても、近年の降り方は以上に思える。「これまでの気象データからは考えられない豪雨が頻発している」背景には地球温暖化の進行がある。「影響は猛スピードで現れている。九州は今後、より激しい豪雨に真っ先にさらされることになる」。九州大名誉教授の小松利光(70)は警告する。科学省の代表機関である日本学術会議で、温暖化時代を見据えた水害の抜本的対策を求める提言づくりに、11年前から4度、携わってきた。九州は南から湿った空気が流れ込み、梅雨前線が停滞しやすい。台風も強い勢力で上陸する。何度も豪雨に見舞われるうちに、崩れやすい場所は雨に対しては耐性をもっているはずだった。
ところが、耐性を超えるような極端な雨が降ることになり、これまでに経験したことがない災害が起き始めている。九州より南にあり高温多雨の台湾では、豪雨で斜面の表層土だけでなく深い岩盤まで崩れる「深層崩壊」が多発し、村が丸ごと破滅する被害が出ている。小松は、17年の豪雨で発生した日田市小野の大規模な土砂崩れが、この深層崩壊だった可能性を指摘する。17年の豪雨は「過去最大級の流木災害」(国土交通省)も引き起こした。
温暖化の防止だけでなく、変化に備えて被害を減らす「適応」を重視するのは世界的な流れでもある。国交省も今春、温暖化を踏まえた治水対策を考える検討会を立ち上げた。委員を務める九州大教授の矢野真一郎(51)は言う。「17年の豪雨は、災害対策や河川計画の前提を考え直す転換期にきたことを示した災害だったのではないか」
(竹野内崇宏)

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