8月7日 西日本豪雨パネル破損など12カ所被害

東京新聞2018年8月2日24面:太陽光発電所 防災おざなり 西日本豪雨で、12カ所の太陽光発電所が浸水や土砂崩れの被害に遭ったことが分かった。東日本大震災後、再生可能エネルギーの導入を促す制度を背景に急増したきた太陽光発電所を襲った水害。国の防災対策は十分だったのか。(安藤恭子)
経済産業省によると、広島、兵庫、愛媛、島根、山口県の12カ所で、施設の浸水による機器の故障や、土砂崩れによるパネルの破損を確認した。環境省は、浸水した太陽光パネルに光が当たって発電、感電する恐れがあるとして、囲いを設けるなどの警戒を呼びかけている。兵庫県姫路市の太陽光発電所(出力750㌔ワット)では、斜面の中腹部に設けられた約3500枚のパネルのうち約2割が地面ごと崩落した。運営会社「グットフェローズ」(東京)の担当者は「安全に配慮し、発電所の立地は選んでいるが、想定を超える豪雨だった。周辺の人たちにこれ以上の不安を与えないよう、パネル回収に向けた作業を急いで進めたい」と話す。
太陽光発電所は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まった2012年以降、設置が進んだ。経産省によると、風雪や地震に耐えられる施設の安全設計を義務付ける電気事業法の基準はあるが、浸水や土砂崩れといった水害への対応を示した法制度はないという。同省の担当者は「水害のリスクがあるような場所に、事業者は発電所を造らないだろう、という大前提があるためだ。火力や風力の発電所も同じで、自治体の条例や土地利用規制にかからなければ建てられる」と説明する。NPO法人「市民電力連絡会」(東京)の竹村英明理事長は「安全を担保するルールがない中、国土の狭い日本で、山を削るようなメガソーラーができているのが現状だ。危険と判断された発電所に対しては、FIT認定を失効させ、撤去する仕組みも必要ではないか」と提言する。
太陽光発電所の周辺では環境破壊や光害も問題化している。火力、水力、風力発電は環境影響評価(アセスメント)の適用対象になっているが、太陽光は対象外。環境省は今年7月上旬にようやく、メガソーラーをアセスの対象に加える検討を始めたばかりだった。同省は近く有識者会議を立ち上げ、土砂崩れなどの災害対応についても、アセスに含められるか検討するという。
中北徹・東洋大教授(産業組織論)は「太陽光発電は、脱原発の切り札の一つとして国が打ち出し、新規参入しやすいのが特徴だった。一方で、利益優先の事業者もあり、施設の安全や住民合意を置き去りにした開発が進められている。業者の施設の監視が、住民の『自己責任』に委ねられているのが問題だ」と指摘する。
長野県麻績村のように、土砂災害の危険が髙い地域を指定し、太陽光発電所を原則禁止する条例を制定しているところもあるが、これも自治体任せだ。中北氏は「安全性まで手が回っておらず、国の太陽光発電推進はポーズなのではないか。再生エネとして普及するには、自治体が住民の意思を反映した明確なルールを作るとともに、国が後押しするような法制度の改正が必要だ」と話した。

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