9月5日 平成とは 天安門事件「5」

朝日新聞2018年8月30日夕刊10面:乱射受け自宅窓に穴 「タン、タン、タン」トラックの荷台から戒厳部隊の兵士が、北京東部の建国門外大通りの外交官アパートなどに銃弾を浴びせてきた。「血の弾圧」から3日後、6月7日午前10時10分過ぎのことだ。北京支局は、この大通り沿いの斉家園のアパート6階にあった。私は、この高さまで弾は届くまいと高をくくっていた。だが、すぐ真っ青になった。支局の西側にある建国門外のアパートの自宅に妻が居たからだ。自宅は3階で、おまけに大通りに面していた。歩けば15分ほどの距離だが、撃たれるのは怖い。
乱射は15分ほどで終わった。妻は銃撃の間、大通りと反対側の1階玄関でしゃがんでいた。自宅の窓ガラスには直径10㌢ほどの穴が開き、銃弾が床に落ちていた。当局は狙撃されて応戦、兵士1人が死亡と発表した。火炎瓶を使った市民の抵抗も散発していた。乱射の興奮の中で書いたのが「厳戒軍の動き急/北京 郊外で交戦続く? /喬石氏、実権掌握か」(7日付夕刊1面)。内外の関心は失脚した趙紫陽に代わり、誰が次のかじ取り役の共産党総書記になるかだった。私は保守派の李鵬首相(89)と中立派で公安部門担当の喬石が有力とみていた。
だが、実際には上海市党委員会書記の江沢民(92)が選ばれる。私はその動きをつかめず、確信を持てたのは、人事を決める党中央委員会の全体会議(四中全会)の初日の6月23日朝だった。中国の記者が一声かけてくれた。私は24日付1面の記事に「四中全会の開催と共に、江沢民政治局長の名が急浮上してきた」と書いた。東京のデスクには江沢民の名前を見出しに採るよう求めたが、刷り上がった見出しは「趙氏らの処分決定へ/中国、四中全会始まる」と、素っ気なかった。ちなみに、毎日新聞1面の見出しは「江沢民氏が就任へ」。見出しをめぐる、ほろ苦い思い出だ。 (元北京支局員・田村宏嗣)

 

 

 

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