8月5日 原発ゼロをたどって6

朝日新聞2018年7月31日夕刊2面:仲間はもう増えないのか 「つるし」。法案が審議に入れないことを示す国会の業界用語だ。立憲民主党など野党4党が今年3月に共同で衆院に提出した「原発ゼロ基本法案」は長らく「つるし」の状況が続き、あげく継続審議の扱いになった。なぜか。法案提出から約3カ月が経った6月8日。法案審議を求める緊急集会が国会内であった。法案作成を担った立憲民主党の山崎誠(55)は、一部野党の賛成がなかなか得られなかった。さらに、原発推進派が多数を占める自民党の理解も審議入りには必要だった。
集会は元首相・小泉純一郎が顧問の「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」も協力。小泉と対立した共産党の笠井亮(65)は「元首相が『国民運動を展開する』と言われたのを力強く思う」などと歓迎した。が、道のりが険しいのは明らかで、山崎も「徹底的に審議を要求していく」とはするものの、成立の見通しは立っていない。
「仲間」は増えないのか。集会には法案に直接の関係がない無所属の田嶋要(56)の姿があった。元は民進党だが昨年来の野党再編を経て無所属に。司会役の山崎は集会終盤でこの田嶋に発言を促した。実は民進党時代、あの「幻」の原発ゼロ法案を成案にと務めたのが田嶋だった。驚きつつマイクを握った。「エネルギーの問題は天動説の世界で地動説を唱えるような話・・関係者に働きかけ最後は地動説にしたい」。取材に田嶋は「山崎議員らと思いは同じです」と言った。その田嶋は今年5月、「自然エネルギー社会実現議員連盟」なる超党派議連を立ち上げた。原発と裏腹の関係にある自然エネルギーの拡大に尽くすのが狙いだ。約40人の議員を集めたところだ。
議連2回目6月19日の会合では、その孫正義が2011年に創設したシンクタンク「自然エネルギー財団」事業局長の大林ミカがプレゼンし、世界の原子力と自然エネルギーの導入推進を示した。「風力は15年に原子力容量を追い越し、太陽光は17年にほぼ同量に」-そんな実態を政党の別なく伝える姿は「自然エネルギーのジャンヌ・ダルク」とも呼ばれる。長年、超党派で活動を続ける「原発ゼロの会」の存在も政界では大きい。事故後の12年3月、原発ゼロへの国民の思いの受け皿に、と結成された。創設メンバーには自民党で現外相の河野太郎(55)もいる(現在休会中)。現会員数は100人弱。全国会議員700人余りの約7分の1だ。
事務局長の立憲民主党の阿部知子(70)は「名前を出すと差し障りのある議員がまだ多い」と嘆息する。半面、「勝ったと言いながら負けた太平洋戦争と一緒。原発をずるずるとやっているが勝負は付いている」と「原発ゼロ」を確信する。会の名は報道番組「NEWS ZERO」から思いついた。「ゼロ―って、『打ち出し方』がいいな」と阿部。幅広く。粘り強く。軽やかに。『原発ゼロ』が政治的に盛り上がる時は遠くないかもそれない。
=敬称略 (小森敦司)

 

 

 

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