8月29日 カード偽造 日本を標的

朝日新聞2018年8月25日38面:マレーシアで組織化か ブランド品大量購入 マレーシア人による偽造クレジットカード使用事件が日本国内で多発している。警察当局は、現地の犯罪組織が人を送り込んでブランド品を大量購入させ、帰国後に転売しているとみている。偽造が難しいICカードでの決済の普及が日本国内で遅れている現状も、背景にありそうだ。 東京・新宿の百貨店で4月、マレーシア人の男(27)が約35万円のネックレスを買おうとしていた。提示したのはホログラムがはがれかけた不審なカード。通報を受けた新宿署員が、偽造カードを所持したとして不正電磁的記録カード所持の疑いで逮捕した。
署は翌日もマレーシア人3人を同容疑で逮捕した。男らは調べに「ヤミ金の借金返済のため、業者から仕事を紹介された」と供述。SNSで指示を受け、購入額の10%を報酬として受け取る予定だったという。警視庁は昨年、偽造カードが絡む事件に関与したとして計75人を逮捕。国籍別では、前年は0人だったマレーシア人が最多の33人に上った。今年も、7月末までの逮捕者54人のうちマレーシア人は32人で、全体の約6割を占める。
警視庁の捜査関係者は、マレーシアの犯罪組織が債務者に声をかけたりSNSを通じて集めたりした「買い子」を日本に送り込み、ブランド品の購入後に帰国させ、ブランド品を転売しているとみる。捜査関係者によると、買い子が購入した商品をコインロッカーに預け、運び役が回収。報酬は役割ごとに購入額の3~10%と定められているという。ノルマやカードの処分方法を記したマニュアルも見つかった。ただマレーシアにいるとみられる首謀者は、特定できても逮捕するのは難しく、警察庁を通じて現地警察に情報提供するしかないのが現状という。
IC決済進まず 日本貿易振興機構によると、マレーシアは他の東南アジア諸国より高所得の人が多く、ブランド品のニーズがある。日本は2013年7月からマレーシア人の短期滞在ピザを免除しており、訪日客が増加。そる捜査幹部は「犯罪組織が実行役を潜り込ませやすくなっている」と話す。クレジットカードには情報を磁気テープに記録する「磁気カード」と、ICチップに暗号化した情報を記録する「ICカード」がある。スキミングなど不正利用が多い磁気カードに比べ、ICカードは偽造が難しいとされている。大手カード会社の調査(16年末~昨年2月)では、ICでの決済率は米国が47%、欧州が99%なのに対し、日本は17%。ICカードの読み取り端末があまり普及していないためだ。捜査関係者によると、警視庁が昨年~今年7月末に逮捕したマレーシア人は、いずれも磁気タイプの偽造カードを所持していた。ある男は「磁気カードが使えるうちに稼げと言われた」と話したという。
日本クレジット協会によると、偽造カード使用による被害額は15年の23億1千万円から16年は30億6千万円、昨年は31億7千万円と増加傾向。16年末、店舗側にICカードの読み取り端末設置を求めるなど、不正使用の防止を義務づけた改正割賦販売法が成立。今年6月に施行された。カード業界に詳しい日本総研の岩崎薫里・上席主任研究員は「IC化は安心してカードを使える環境作りにつながり、外国人旅行客を増やすためにも必要だ」と指摘。「常に最新の情報を把握しながら対策を講じる必要がある」と話す。 (稲垣千駿、荒ちひろ)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る