8月28日 携帯料金 下がる? 総務省 議論を開始

朝日新聞2018年8月24日3面:官邸意欲 菅長官「4割下げる余地」 総務省が携帯電話料の引き下げに向けた議論を始めた。通信料が高止まりして家計を圧迫しているためで、菅義偉官房長官も「4割程度下げる余地がある」と側面支援する。だが、NTTドコモなど大手3社は巨額の設備投資を控え、大幅な値下げには慎重だ。野田聖子総務相は23日、情報通信審議会(会長=内山田竹志・トヨタ自動車会長)に対し、携帯料金の引き下げを含む情報通信分野の競争ルール整備について諮問。少人数の部会で議論を進め、来年6月をめどに中間答申、12月をめどに最終答申をまとめる予定だ。
この審議会にぶつけるように値下げを求めたのが菅官房長官だ。21日の札幌市内での講演で「携帯電話の料金があまりにも不透明で他の国と比較すると高すぎるのではないか」と不満をあらわにした。第1次安倍内閣で総務相を務めた菅氏は、当時から携帯料金の値下げへのこだわりが強い。総務省が2016年度、世界6都市のスマートフォンの通信料(データを月5ギガバイト使った場合)をシェア上位3事業者のうち最も安いプランで比べたところ、東京は3760円で、ニューヨークより安いものの、ロンドンやパリと比べると約1.5倍だった。菅氏は講演で、NTTドコモなど大手3社の年間の営業利益が約9千億~1兆3千億円(18年3月期)にのぼることを引き合いに出し、「競争が働いていない」とも批判した。官邸が携帯料金の引き下げを求めたのは、今回が初めてではない。15年秋に安倍晋三首相が「携帯料金などの家計負担の軽減は大きな課題だ」と述べ、総務省に引き下げの検討を指示。これを受けて大手各社は端末代を値引かない代わりに通信料金が安くなるプランを導入するなどしたが、割安感が感じられるまでにはなっていない。
スマホの普及や、動画視聴の増加などで利用者が使うデータ量が増えたこともあり、携帯料金への支出は増え続ける。2人以上の世帯が払う携帯の通信料は10年前の1.4倍に増加。支出全体に占める携帯の通信料の割合は2.4%から3.6%へと増えた。統一地方選や参院選を控える政権としては、携帯料金の引き下げを打ち出すことで、国民の共感を得ようとの思惑が見え隠れする。家計における固定的な支出を減らせば、アベノミクスの欠点とも言われる伸び悩む個人消費の押し上げにつながる、との算段もある。
各社慎重「通信網の維持にコスト」 政権の値下げ要求に対し、NTTドコモは「これまでもお客様に様々な還元をしてきた。今後も料金やサービスの見直しを検討したい」とコメント。KDDI(au)やソフトバンクは「今後もお客様のニーズに応えられるよう、サービスの向上に努める」などとコメントした。政権中枢の菅氏の発言だけに、各社は神経をとがらせる。ある大手幹部は「4割の根拠がかわらない。経営への影響が大きすぎる」として、大幅値下げは非現実的との見方を示す。各社は利益の中から毎年3千億~5千億台の設備投資をしている。基地局の更新などに使われており、次世代通信規格(5G)の関連費用もかかる。「全国で通信網を維持するコストを踏まえて議論してほしい」との声があがる。
事業者が決める料金に政府が口出しすることについても「自由な経済市場の中で、政府による民間企業への価格統制につながるのではないか」(大手幹部)との反発が漏れる。総務省幹部は「値下げの強制はできない。格安スマホ事業者との競争を活発化させることで、結果的に下がってくれれば」と指摘。IT大手の楽天が来年10月に「第4の携帯会社」として新規参入し、競争が激しくなることに期待を寄せるが、どこまで値下げにつながるかは見通せない。
調査会社「MM総研」の横田英明研究部長は「大手3社で市場のほとんどのシェアを占め、何もしなくても利益が出る構造になり、ここ数年は料金が高止まりしている。通信料金のさらに引き下げるべきだ。ただ、過度に各社の利益を圧迫すれば5Gに向けた投資余力がなくなる恐れもある。総務省はバランスをとった着地点を探る必要がある」と指摘する。(岡村夏樹、徳島慎也)

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