8月20日 保育無償化 待機児童「増える」60%

埼玉新聞2018年8月15日1面:全国主要都市調査 賛成は半数未満 政府が来年10月に実施予定の幼児教育・保育無償化について、都道府県庁所在地や政令指定都市など全国の主要都市に聞いたところ、回答した81自治体のうち「賛成」は半数未満の36自治体にとどまることが14日、共同通信の調査で分かった。県内は政令都市のさいたま市と中核市の川越、川口、越谷の3市が回答。さいたま市や川口市、越谷市など60%の自治体は認可保育所などに入れない待機児童が無償化の影響で増えると予想。準備期間の短さから大半が実施時の対応に不安を示した。
待機児童が解消されていない段階での無償化を疑問視する意見もあり、実務を担う自治体で賛同が広がっていない状況が浮かび上がった。政府が5月に決めた方針は消費税10%への引き上げに合わせ、世帯年収を問わず3~5歳児の幼稚園や認可保育施設の利用を無償化。認可外施設についても一定額を上限に補助するといった内容。
調査は7~8月に都道府県庁所在地(東京は都庁のある新宿区)とそれ以外の政令市、中核市の計83市区に実施し、鹿児島市と岡山県倉敷市以外から回答を得た。そのうち、政府方針に「全面的に賛成」としたのは大阪市のみ(1%)で、「どちらかといえば賛成」が、さいたま市と川口市を含む35市区(43%)。一方、「全面的に反対」は大津市の1市、「どちらかといえば反対」は7市。37市(46%)は「どちらともいえない」と答えた。63市区(78%)は無料になることで保育施設への入所を希望する人が増えると予想。その結果、「待機児童が増えると思う」との回答が49市区(60%)に上った。
県内4市の待機児童数(2018年4月1日現在)は、さいたま市315人、川越市73人、川口市82人、越谷市45人。幼児教育・保育の無償化について、さいたま市は「財源、実施時期も含め、地方の意見を十分に踏まえた制度設計を行っていただきたい」と要望。川口市は「制度の詳細を早急に示してもらいたい」と求めた。
政府方針への意見を複数回答で聞いたところ、「自治体の業務が増え、対応できるか不安」が53市で最多。「実施の際、現場で混乱を招く恐れがある」(40市)、「施設の用地や保育士の確保、質の向上など別の使い道に財源を使うべきだ」(28市区)。
待機児童は21%減少 全国の都道府県庁所在地、それ以外の政令指定都市、中核市(計83市区)で希望しても認可保育所などに入れない待機児童は、今年4月1日現在で4926人と、全年同期の6214人から21%減少したことが14日、共同通信の調査で分かった。前年に比べて減ったのは大阪、大分など35市区で、増えたのはさいたま市や神戸市など20市だった。


2面:現場の疲弊、質低下懸念 自治体、人員や準備期間で 幼児教育・保育の無償化に関する政府の方針に対し、自治体からは「利用希望者が増え待機児童が増加するだけでなく、現場の疲弊や保育の質低下につながる」といった懸念や、実務に必要な制度の詳細が示されないことに対するいら立ちの声が上がった。 =1面参照
順番に異論 「待機児童問題が解消できない段階で、さらに需要を喚起するような政策には賛成できない」。西日本のある市の担当者は、共同通信の調査で政府の方針に「どちらかといえば反対」と答えた理由をこう語った。もともとは無償化自体には賛成の自治体が多かった。調査対象は一部異なるが、政府の方針が発表される前の今年1~2月に共同通信が政令指定都市などに実施した調査では、約8割の自治体が賛成と回答していた。
方向性には賛成でも、政府の進め方に対し「待機児童の解消と順番が逆」「保育士の確保などほかに財源を使うべきだ」といった異論を抱える自治体が多く、いわば「総論賛成、各論反対」の状態といえる。8割近くの自治体は「無償化の影響で保育ニーズが増える」と予想。「安易な利用申し込みが増える」との指摘も見られた。政府が掲げる「待機児童ゼロ」の目標達成に逆行しかねず、京都市は「無料になればこれまでより長い時間、子どもを預ける保護者が増え、結果的に保育士を増員しなければならなくなる」と懸念を示した。
苦言が集中 保育所や幼稚園は慢性的な人手不足で、人材争奪戦は激しくなるばかり。十分な職員を確保できなければ、「子どもに目が行き届かず、安全面に不安が生じる」(中国地方の中核市)。認可外施設の質の確保を危ぶむ声もあった。職員数などの指導監督基準を満たしていなくても、5年間は猶予期間として無償化の対象となるため、子どもが劣悪な保育環境に置かれる恐れが排除できないためだ。
このほか苦言が集中したのが、準備期間が短い点。政府は来年10月から実施する考えだが、財源を巡る国と地方の負担割合はまだ決まっていない。各自治体では、例年9月ごろから翌年度の予算編成に向けた調整が始まるため、賛成派、反対派双方から「詳細な制度設計を早く示してほしい」「地方に負担が生じないよう、国が財源の確保を」といった要望や、実施を先送り数べきだとの意見が相次いだ。
札幌市の担当者は「システム改修や人員配置など多くの課題があり、準備が間に合わか不安だ。秋までに詳細が決まらないと、対応するのは相当難しくなる」と訴えた。

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