8月2日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2018年7月27日27面:遠い「おむすび山」 ①柿ピー ②おむすび山 ③カレーせんべい これらを買うのが、今回のわたしの任務だ。絶対忘れるので紙に書いてスーパーにきた。このメモ落として「お嬢さん」なんつって、ハンサムに拾ってもらっても恋に発展しなさそうだ。これは、スーツケースに入れるお土産なのだ。フランスにいる日本人家族からのリクエストで。これはフランスにはなさそうだわ。フフフ。
あ、サッカー、優勝おめでとうございます。でも、これはフランスにはないわ。ヒヒヒ。そう、フランスに行くのだ。家族でお世話になる。だからこれは日本からの貢ぎ物なのだ。間違えてはならない。柿ピーはすぐ見つかった。カレーせんべいも、柿ピーの近所にあって、へえ、こういうのがあるのか、おいしそう、と、すぐ見つけた。みっつずつ、カゴに入れる。よし、次、おむすび山。さあ、ここで、わたしは。 柿ピーとカレーせんべいに挟まれたおむすび山(わたしが勝手に挟んだのだが)を、「お菓子」と勘違いした。お菓子コーナーで「おむすび山」を探してしまう。「おむすびの形のおせんべい」だと。そういうの、あるよね~と思い込んで、さまよった。「おむすび山」は、ご飯にササッと混ぜて簡単においしい、おかあさんの味方の、有名なアレなのだ。それも知っていた。思い込みとは恐ろしいのだ。無いのだ。メモに「シャケ、タラコ味、他、何味でも。」と、ある。人気商品っぱい。見つけられないのは、使えねー感じだ。サラリーマンだったらちょっと。周りの人はどんどんレジに並びに行く。わたしひとり、旅に出ていた。もう20分探している。フランスより遠い気さえ。店員さーん。お、「おむすび山はどこですか?」 昔話のセリフみたいだ。父親を探しに登りそうだ。「おむすび山、ですね!」丁寧に、ふりかけのたりに案内された。あああ、これか。これだ。長い道のりだった。フランスへの旅はもう、半分終わった。(漫画家)

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