8月11日 甲子園は今日も夢舞台 幸せだなあ

朝日新聞2018年8月6日18面:元星稜・松井秀喜さん 山下名誉監督と 思わず頭を抱えてしまいました。ど真ん中に投げる予定の始球式が、外角低めにワンバウンド。星稜の後輩捕手ががっちり捕球してくれました。練習ではいい球がいっていたんだけどなあ。大歓声はうれしかった。でも、打席と違ってマウンドで視線を浴びるのは慣れていないんですね。ちゃんと投げないとと思って、だんだんそわそわしちゃって。マウンドでの経験不足が出ました。この年になって甲子園の魔物に襲われましたね。よく「夢のよう」と言いますが、今日は私にとって本当に夢です。100回という記念の大会で始球式に呼んで頂いた。高校時代の最後のあの5敬遠があったから、声をかけて頂いたのだと思います。その大会に母校が出場して、しかも、自分が始球式をする開幕試合に登場する。
今までプロ野球でもメジャーリーグでも夢のような舞台は経験したけど、なんだろう、今日は。野球をやめて初めてです。こんな日は。この偶然は、やっぱり夢じゃないかと思います。あそこ(三塁側アルプス)に星稜のみんながいるんですよ。その黄色を見ただけで、涙が出そうになるんです。
始球式に先立つ開会式は星稜時代の監督、山下智茂さんと一緒に見た。 松井 こんな風に甲子園で山下監督と一緒に過ごすのは私が高校3年の時、明徳義塾戦以来ですね。 山下 こんな体験が出来るとはね。今年の石川大会で星稜が優勝した後、言ったんです。「松井が来るから開幕戦のくじを引けよ」と。 松井 卒業してから球場で一度も後輩たちの試合を見たことがなかったんです。今日が初めて。まさかまさかで怖いくらいです。おー、来た来た。星稜の伝統の行進、変わってないなあ。ひざが上がっている。甲子園にも歴史があるし、うちの高校にも歴史がある。監督はよく「みんなに応援されるチームになりなさい」とおしゃっていた。 山下 松井君も受け継いでくれて、誰にでも応援される選手になってくれた。いまのヤンキースのゼネラルマネジャー付特別アドバイザーとはどんな仕事? 松井 マイナーリーグの先週に助言したり、試合のリポートをまとめたりしています。私はジーターらすごい選手と一緒にプレーをしていたので、「彼らはこういう打ち方をしていたよ」という風に教えると、若い選手にはすごく響く。 山下 僕も「松井はこんな風にスイングしていたよ」と教えたことがある。子どもたちの「野球離れ」が言われる。僕は若い指導者たちに、もっともっと野球の楽しさを教えてやって欲しいと話している。
松井 今の子どもたちは野球以外の選択肢が多い。自分で立ち上げたNPO法人「松井55ベースボールファウンデーション」でも野球教室を開いていますが、底辺拡大に力を入れるべきだと思います。 山下 松井君には世界で野球を広げて欲しいし、野球界に恩返しをして欲しい。 松井 頑張ります。
100回大会の開幕戦は星稜がリードを奪う。 100年後の高校野球ですか。いまのままでいいと思います。私にとって高校野球は原点であり、甲子園はずっとあこがれの場所です。それはいまも変わりません。だから、選手の体のことを考えたり、水分補給を大事にしたりと時代に合わせて少しずつは変わっていくんだけど、甲子園はいつまでも、球児にとってあこがれの場所であり続けて欲しい。そう思います。
打つねえ。星稜はいい打線をしている。守備も鍛えられているし、バッテリーを中心にバランスがいい。我々の時よりレベルが高い。終盤、藤蔭が追い上げる。スイングにすごい力強さがあるし、チームとしてのまとまりも感じます。星稜は九回、寺西君がリリーフに出て三者凡退に抑えた。1年生? 私と同じ根上中学? 直系の後輩ですね。たいしたもの。私も1年生で甲子園に出ましたが、足がぶるぶるでした。さあ、校歌を歌おう。立たないと失礼でしょう。「今黎明の 加賀の空」「希望に生くる われらかな」。幸せだなあ。これ以上ない一日です。(構成・竹田竜世)

 

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